『インヴェンション・オブ・ラブ』 　　The Invention of Love〜愛の創造〜

ライシアム劇場

２００１．４．１８（水）２０：００ ２００１．４．２０（金）２０：００

作：トム・ストッパード 演出：ジャック・オブライエン

キャスト： ハウスマン(as77)...リチャード・イーストン A.E.ハウスマン...ロバート・ショーン・レナード カローン...ジェフ・ワイズ モーゼス・ジャクソン...デビッド・ハーバー アルフレッド・ポラード...マイケル・ストゥルバード オスカー・ワイルド...ダニエル・デイビス　他

物語：死の床につこうとしている詩人のハウスマン。“その時”がくる直前、彼は若い頃の自分と出会う旅に出る。若い頃の自分と会話しながら、過去に出会った人々との関わりをもう一度見つめ直していく。

月曜日にこの芝居のチケットを買いに行った時、「今週はもうバルコニー席（３階席）しかないよん」と言われて目が点になった私…。取り敢えず金曜日の３階席のチケットを買い、その後毎日のように「１階席ある？」と聞きに行ったのですが、「ない」と言われるばかり。で、水曜日に観ようと思っていた『クラス・アクト』を捨てて、ダメ元でTKTSの当日券に並んでみました。PM4:00過ぎに並んで10分くらいで買えたのですが、舞台が少々見切れる席ですが１階席が買えました！これでロバートの芝居が間近で観られる〜(^^)。そう、水曜日は殆どロバートの芝居中心に観てたのです(^^;; 。あ、、、因みにロバートというのは、ロバート・ショーン・レナード(*^^*)。映画にも出ている（『いまを生きる』『スウィング・キッズ』等）舞台役者です。

とにかく難しい芝居だと聞いていたので、もう内容を理解するのは諦めて舞台の雰囲気を味わうのと役者の芝居を追うことを第一目標に観に行きました。それが良かったのか、まあ細かい内容は未だによく分かっていないのですが（戯曲買ってきたけど全然読んでない(^^;; ）、とてもまとまりのあるプロダクションの力強い芝居を堪能することが出来ました。水曜日は前から10列目の下手という席だったので、とにかく役者の芝居を観ることに専念したのですが、いやあ、十二分に堪能しました。特に両ハウスマンを演じる２人の役者の演技は素晴らしい。

主役の老ハウスマンを演じるリチャード・イーストンさん。非常にチャーミングで飄々とした演技。もっとじっくりと演じる役柄なのかと思っていたので、これは新鮮な驚きだったです。語り口もとても上手くて説得力のある演技で、今年の賞レースを殆どさらったのも納得です。しかもセリフの大切さを教えてくれる、、、分からないところ一杯あったけど(泣)。翻訳コンニャク欲しかったわ(笑)。

そして若き日のハウスマンを演じるロバート。大学生活を謳歌しながらも自身のセクシャリティに悩み、苦悩する姿を丁寧に追っていく芝居。こういう役は絶対似合うに違いないという予想を裏切らない、本当にロバートらしい演技。でもここまで溢れんばかりの情感を見せてくれるとは思ってなかったので、これは嬉しい驚きでした(^^)。好きな人と一緒にいられる事への素直な喜びと、知られてはいけないという苦しみの表情、拒絶された時の哀しみと悟っていたような表情、繊細なロバートの表現がストレートに心に響いてきて、少々セリフが分からなくてもグッと来てしまう。。。愛、溢れまくってます(^^;; 。好きになってしまうのが女じゃなくて良かった。。。と心から思ってしまった(爆)。

　

死の直前にいるハウスマンが、過去の自分に出会う旅に出る、、、という趣向で始まるこの芝居。学者であり詩人であったハウスマン。その始まりにいるロバート演じるハウスマンと終わりにいるイーストンさんが、出会い、語り合う20分程にも渡るこのシーンは、舞台に一筋の光が宿っているかのような素晴らしく美しい場面。

そう、この芝居は舞台そのものがとても美しいのです。幻想的なセット、表情のある照明、キャラクターを繊細に、丁寧に描く演出、そしてガッチリと演じる役者。ボートのシーンのなんと美しい事！

そして何より美しいのはストッパードの描く脚本。十数年後に再演されても評価され得るホンなのだろうなと。その難解さと共にある奥深さによって、トム・ストッパードという脚本家は演劇界で間違いなく残る名前なのでしょう。同じ時代にこの脚本家の芝居を観られる幸せを、出来るだけ多く味わいたいです。

、、、しかし楽屋口が裏にあったとはねえ(号泣)。（4/18★★★☆）（4/20★★★★）