◆ダイ・アナザー・デイ（イギリス・アメリカ）◆

トビー！トビー！！トビー！！！クールで熱いトビーがあんまり格好良くて惚れ直しました。脚本のキャラクター描写が薄いのは残念だけど(涙)、それでも最大限魅力的に演じてくれるのは嬉しい。こういう役でもトビーはやっぱり上手いわ。ラスト近くの“あの表情”がかなりツボでした。こんな一瞬を見せてくれるのはふぁんとしては嬉しいし、魅力的な役者なんだなあと改めて思ってしまう。しかも痩せてるし(笑)。

映画は脚本が薄々で突込みどころ満載だけど、ボンドはこれでいいのだと思ってしまう力強さがあると思う。と、無理やり自分を納得させてますが(笑)。でも脚本の弱さを俳優が救ってる気がします。ハル・ベリーは噂通り凄くハマってるし、ロザムンド・パイクのクラシックな美しさは魅力的。リック・ユーンはもっと見せ場が欲しかったけどなかなか怪しくて良かった。ケネス・ツァンは韓国軍の将軍には見えなかったけど(笑)、相変わらずいい味出してる。

◆タイムマシン（アメリカ）◆

過去を変えられなかった男が未来を変え、その新しい未来に向かって生きていく。原作には未来への大いなる希望というのはないそうですが、映画版では未来を感じさせる作品になってます。とは言え、あまり考えすぎずに観たほうがいい映画。時空を越えすぎてビックリしちゃいますが(^^;;、近未来をもう少し見たかったなという不満はちょっと残りました。予算的に厳しかったのかもしれないけれど、あの近未来があるからこその80万年後だと思ったので。始まりの19世紀のガイ・ピアースが、何だか私の知らないガイになっていてちょっと哀しかったのですが(涙)、80万年後に行ってようやくいつものガイらしさが出てきてホッとしました。ガイ自身も後半の方が生き生きしてたような気がする。クラシックな衣装は似合いそうな気がするんだけどな。何がいけなかったのだろうか…。

◆太陽の雫（ハンガリー）◆

いや、凄い。もうこれしか言えない。監督が執念で作り上げた映画ってのが画面の端々からほとばしってきて、もう堪えきれなくてあふれ出してるf^^;って感じです。迫力満点な画面。３時間の映画だけれど長いとは感じなかった。でも３時間がちゃんと３時間あったと実感できる。無駄な場面がない映画なのでしょう。その分、ホッと気の抜けるところもないけれど。３世代の主人公を一人の俳優が演じるので、次の世代に行くところで少し違和感があったりするのですが、物語に起伏があるので段々と気にはならなくなります。

その３世代の主人公を演じ分けるレイフ・ファインズは熱演です。それぞれの役を微妙に違うところを出しながら、でも血を感じさせる演技。２代目が一番合ってたかな。なんかめちゃめちゃキザっちくてイヤラしいけど(笑)、でもレイフの品が勝つんですよね。一目惚れした婚約者のいる女性を口説くときのセリフが余りにキザで凄かったわ。観ててこっちがテレてしまいましたよ(^^;;。しかし似合うのだな＞レイフ。気品が一番あったのは１代目。ジェニファー・エールの品の良さとぴったりで微笑ましかった。

◆ダークネス（アメリカ・スペイン）◆

『アザーズ』を凌ぐうんぬんというキャッチコピーはどうかと思うが…。あのハリウッドナイズされながら、きちんと練り込まれた脚本で映画を見せきった『アザーズ』と比べると辛い気がするけど。プロットとか微妙に似ている所は確かにあるけど。ラストもどうなんだ。。。
といいつつ、まい・らぶり〜・フェレが余りにもキュートだったので、途中からストーリーはどうでも良くなった(笑)。英語を喋るフェレって初めて観たよ〜(*^^*)。フェレはどの映画を観てもいつも印象が違って見える面白い俳優ですが、今回はアンナ・パキンのエスコート役を爽やかに演じてとっても可愛い(^^)。こういうフェレもまた良い。『トーク・トゥ・ハー』ではどんなフェレを見せてくれるのか、とっても楽しみ！

◆ダスト(マケドニア，アメリカ)◆

良い映画です。でも好き嫌いがハッキリ分かれるかもしれない。さらさらの砂や、ゴツゴツした岩肌が乾いた空気を感じさせるマケドニアが、美しくも哀しい表情をしているのがとっても印象的。ここに描くのは、そんな激しすぎるバルカン半島の大きな歴史の流れの中では、まさしく吹けば飛ぶような小さな男の生き様なんだけれど、でも軽くはないのだ、その人生は。その軽くないという想いをはっきり持たせるのが、現在のＮＹの描き方。ヘタな監督だといい加減に描きそうなこのパートを、丁寧にたっぷり撮ってるのが上手いと思う。ばあちゃんも非常に魅力的なキャラクターで演じるローズマリー・マーフィーも上手いけれど、その話しを聞かされる運命にあったチンピラのエッジを演じるエイドリアン・レスターがとても良い。彼のキャラクターに意味を持たせたのが、この映画にいい味を出させているのだと思う。ここが魅力的じゃないと、この現在のＮＹと100年前のマケドニアを行ったり来たりする展開が嫌になってしまいそう。

そして話しの核を担うのは、ばあちゃんの語る話しの中に登場するデヴィッド・ウェナム演じるガンマンのルーク。欠点が一杯あるどうしようもないような男なんだけど、もの凄く魅力的に演じてる。なんかこう、廃れ行く男の生き様を彼の眼が感じさせてくれるのだ。何て素晴らしい眼をするんだろう。語らなくても眼を見れば何を感じ、考えているのか本当に良く分かる。まったくオードリーと同じ人だとは思えないわ(^^;;。いや、オードリーもある意味眼が印象的でしたが(^_^; 。相対する弟を演じるジョセフ・ファインズには、演技的にもう一歩踏み込んで欲しかった。出番は少ないけれど、印象的な役どころなので勿体無い。

◆テラビシアにかける橋（アメリカ）◆

★ネタばればれです。要注意。★

派手な映画ではないけれど、静かに感動的な映画です。珍しく予告もチラシも見ず、まったくネタばれないままだったので展開にもビックリでした(涙)。

苦しい現実世界とは別に、空想の国テラビシアを作って遊ぶジェスとレスリー。『パンズ・ラビリンス』を思わせる展開だけれど、戦争が背景にあったパンズ〜とは違ってダークな雰囲気はない。でもイジメが背景にあることを考えると、やはり当事者にとっては黒々とした現実なのかもしれない。学校にも家にも居場所がないジェスにとって、テラビシアは自分を解放できる数少ない場所。絵が得意なジェスと物語を作るのが上手いレスリー。二人が作り上げたテラビシアは楽しくて不思議な世界。

この映画は空想世界と現実世界が微妙にシンクロしているのが面白いです。そして空想の世界を現実逃避の場にしていないのが、この映画に品を与えている要因かもしれない。この辺りは原作によるところも大きいと思うけれど、ジェスがテラビシアにのめり込んで逃げ込んでしまうという事がないのがいい。レスリーもジェスをテラビシアに縛り付けるようなこともない。この二人の距離感というのが微妙で、10歳前後ということを考えると微笑ましいです(^^)。そしてテラビシアを作ったことで、現実世界でも少しずつ前向きになっていくジェスがとっても可愛い。

映画は常にジェスの視線で進んでいくので、ジェスが見なかった事は私たちにも分からないし、ジェスが感じなかったことは私たちにも感じられない。客観的にしてレスリーから見たジェスというのも見てみたかった気もするけれど、ジェス視点にすることで物語にグッとのめり込んでいける。レスリーの家の壁塗りの時に、パパと踊るレスリーを見るジェスの心情が、色んなことを語っていて楽しい場面でした。そして登場人物がキャラ立ちしてるのも嬉しい。ファンタジー映画だと人物描写が甘くなりそうだけれど、それをキッチリ描きこんだ脚本と演出が好きでした。

この映画の原作者は息子さんがお友達を亡くしたことがきっかけでこの本を書いたので、レスリーの死というとても哀しい事件が最後に襲います。この話しにレスリーの死というのは必然ではなかったかもしれない。ジェスはレスリーとの出会いによって成長したのであって、レスリーが死んだから成長したのではないのだから。でも哀しいことだけれど、彼女の死によってその出会いはジェスにとって強烈な印象を残した筈。テラビシアに橋をかけたのは、ジェスがレスリーの死を乗り越えたのではなくて、自分なりにレスリーの存在を確かなものとして残したかったのだと思いたいです。

原作のあとがきに（あとがきから読んでみたf^^;）、映画の脚本を担当したのは原作者の息子のデビッド・パターソンとあってビックリでした。そして本を読んだ子供たちの感想が、映画を観た後に読んだblogで目にした感想と似ていたのも面白い。それに対する原作者のコメントが賞の受賞コメントの中にあるそうだけど、読んで見たいわ。ネットにあるかな。

◆長恨歌（中国・香港）◆

東京国際映画祭’05
40年代の上海。写真家（レオン・カーファイ）に写真を撮ってもらったことをきっかけに準ミス上海に選ばれ、国民党幹部（フー・ジュン）の寵愛を受けるが、彼の失脚によって数奇な運命を辿る一人の女性（サミー・チェン）の一代記。

サミーはビジュアルが今までになく美しく、クラシックな周りの雰囲気にもかなり合わせているけれど、この重厚なメロドラマを背負っていくには少し厳しいかもしれない。頑張ってる、頑張っているのだけれど、もう少し頑張れ(笑)。キレイだけど色気をあまり感じない。男達の方が断然色気がありました。流石スタンリー・クワン監督(爆)。でもやっぱりサミーの役にはマギーくらいの演技力が必要だったと思う。芯になるサミーが弱いので、ドラマが少々薄く見えてしまうのは辛いところ。

この映画の陰の主役は、主人公を最後まで優しく見守る写真家を演じたレオン・カーファイでしょう。見事な芝居を披露しています。カーファイの演技を観られただけでも満足してしまえるほどに。主人公を愛しながら、それを彼女にハッキリと見せることなく、そして彼女からの愛を受けられないことが分かっていながらも暖かく見つめる男を、周りを食うほどガツンとしたものではなく抑えた演技で的確に表現する力の素晴らしさ。円熟味を感じます。

ただ主役は上海の街にも関わらず、屋内撮影ばかりで外の景色が殆ど映らなかったのは残念。監督によると、上海の街は近代化の一途を辿っていて当時の面影のあるところがなかったからと言うことですが、それでもやっぱり寂しい。ハリウッド並み（それも大作でなくて普通の映画の予算で十分）の予算が欲しいわ(涙)。

◆ディナーラッシュ（アメリカ）◆

ソーホーのどこかにある若いカリスマシェフのいるイタリアレストラン。その雰囲気がとても良く出ている映画。ＮＹっ子が連日大挙して押し寄せ、予約を取るのも一苦労。そんなレストランの一日を描いているだけなんだけど、その日常が凄い。ほんとにあんななのか？＞厨房。何作ってるのかよく分からなかったぞf^^;。

カリスマシェフってことで、その料理をメインに見せていくのかと思ったけど、殆ど料理は見せてくれない。見せるのはそのレストランを巡る人間模様。沢山の登場人物を丁寧に描いて、どのエピソードもとても面白いし見せ方が上手い。こういうキャラ立ちしてる映画はやっぱり好きだ！ここに出てくる料理はあんまり美味しそうに感じなかったけど(笑)、監督のシェフぶりは最高。

◆ディバージェンス（香港）◆

05年東京国際映画祭　アジアの風

アーロン、イーキン、ダニエルと主役を張れる役者を使い、それぞれのキャラクターを主役に映画が取れるストーリー。この濃い物語を語るには２時間弱では足りない！前後編で作って欲しかったかも。それでもぎちぎちに詰め込んだ割には物語がそれ程混乱してないのは流石にベニー・チャン。暗い影をかんじさせるのもベニー・チャンらしい映画。アクションも派手。でも物語が散漫とまではいかなくても、拡散一歩手前って感じなのでやっぱり４時間くらいある物語なのだと思います。丁寧に作ってくれればもっと面白かったのに。

アーロンは非常に難しい役を頑張って演じてます。ちょっと頑張ってるというのが分かってしまうのが惜しいのですが、感情を押し殺して演技しているところは良かったです。金馬奬ノミネートも分かる熱演。イーキンはポーカーフェイスで何を考えているのかイマイチ分からない弁護士役。そして最後まで私には何を考えていたのか分かりませんでした(笑)。ダニエルは少し役不足かな。特にダニエルじゃなくてもという気もする。でもキャラクターの背景は面白そうなので、描き切ってくれれば楽しい役かも。折角のキャラクター、もう少し絡ませた方が面白かったような気がします。でもそれだとこれ以上に濃い映画になっちゃうかな。実業家を演じたロー・ガーリョン、TVドラマみたいに濃かったわ。うっぷ(笑)。

◆ディパーテッド（アメリカ）◆

香港映画『インファナル・アフェア（原題：無間道）』のハリウッドリメイク版。リメイクすると聞いたとき、オリジナルのファンの多くが心配した懸念がしっかり当たった作品になってました(涙)。ストーリーをなぞっただけで、オリジナルにあった世界観が思いっきり欠落していて、深みのない映画になってしまってる。ラストはハリウッド映画なんだから仕方ないと妥協できるけれど、この世界観を排除してしまったのは何故なのか不思議だ。ハリウッドがオリジナルを“面白い！”と思ったのは、警察と黒社会双方の人間が互いに潜入しているという部分だけなのかもしれない。。。

しかも長い！何故、2時間半もあるんだっ！その殆どはジャックのせいだけど…(--;。いくらなんでも出すぎです…。助演らしく少ない時間でキラッと光る演技をせんかい！！と説教したい気分、、、する勇気ないけど(^^;; 。しかしあれだけ沢山出てキレキレ演技していれば、印象に残るし存在感も出ようというもの。これでオスカー取っても私は認めないわ(^^;; 。でもあの役が主役の二人を喰うほど目立っていては、この映画の良さが半減すると思うのです。一番被害を被ったのはマットでした(号泣)。警察側を描く時間が殆どなく、マットの立ち位置がイマイチ明確にならず、感情の起伏もあまり描かれない。オリジナルにあったこの役のデリケートで繊細な内面を上手く表現できないというのは、余りにも勿体無いと思うのです。ディカプーが熱く演じれば演じるほど、その対比としてのバランスが悪すぎでした。しかも自分の道を決めたときの素敵場面がなくなっていて、ちょっと許せないわ(^^;;。アンディが超格好よく演じてたのにー(涙)。

ディカプーは頑張ってました。あまりに熱すぎて、四六時中青筋立ててたので観ていて疲れましたが(^^;; 。オリジナルのトニーの役作りとは全く違うので、これはこれで成功かなという気がします。でも感情移入は出来なかった。。。マットは扱いが可哀想過ぎる気がしましたが、それでも最後までクールにしっかり演じていて好感が持てます。警察側のアレック・ボールドウィン、マイケル・ダグラス、マーク・ウォルバーグは、オリジナルでアンソニー・ウォンがやった役を３つに割ったような役どころで、何故３人にしたのかイマイチ分からん…。この役の重要性がぼやけてしまったような気がする。逆に重要な女性キャラ、ヴェラ・ファーミガの役はオリジナルで２人居たところを１人にまとめてしまい、これも何故だか意味不明…。軽い女になってませんか？(号泣)　オリジナルとの違いを出したかったのなら、思い切ってこの役をなくしてしまった方が良かった気がする。ジャックの相棒っぽい役のウィンストンさんが出番はそんなに多くなかったけれど、骨太で男前でした。あなたがいてくれて良かった(泣)。ジャックの役は当初デ・ニーロにオファーが行っていた様なので、デ・ニーロだったらどうなっていたのだろう。

◆テープ（アメリカ）◆

なんて良く出来た脚本。舞台版を想像できるシャープな演出もあって凄く好きな作品です。でも映像が忙しないかな。好みの問題かと思いますが、登場人物の心理にグイっと切り込んでくる密度の濃い会話劇なので、映像はもう少し押さえたほうが効果があったんじゃないかなと。これは舞台好きだから余計に思うことかもしれませんが。セリフを喋っている側だけのアップというのも多かったので、相手のリアクション演技を見られないのは残念。単語単位や短いセンテンスの掛け合い（舞台で観ると緊迫感ある場面だろうな）で、カメラ振りすぎで観てて疲れるところも２回くらいあったし。舞台の緊張感を出したかったのは分かるけど、引いてみせて欲しかったと思ってしまうのは舞台が念頭にありすぎかしらん。。。それならもっと濃ゆーく撮ってみた方が面白かったかも。ドイルに撮らせるとか(^^;;。でも低予算映画なので色々なところで制約があったのかもしれないですね。照明もあまり使っていないと思うのですが、陰影ある映像は会話の緊張感が増して良かった。

映像に多少不満は残るものの、スティーブン・ベルバーの脚本とイーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマンと身内で固めた三人のキャストの演技は一級品。特に脚本の切れ味が凄い。登場人物は三人。高校時代のある出来事を基点に、その三人の記憶の中ではそれぞれに違う真実がある。１つであるはずの本当の真実はどこにあるのか、何が真実なのか。相手を伺いながらの会話はスリルがあって凄く面白いし緊張感があります。彼らの言葉の駆け引きが、心理描写として鮮やかに心に残る作品。

イーサン・ホークはドラッグ・ディーラーを副業としている消防士を少々荒っぽく演じているけれど、粗野で無謀さを持ちながら、高校時代の思い出を未だに引きずる純な面も見せて印象に残る演技。ユマは表情が少し硬い気がするけれど、クールに演じていて健闘。

そしてまい・らぶり〜・ロバート(^_^)。自分を押さえ込んでクールを気取り、冷めた目で周りを見ながら、自分自身を見つめることを怖がっているようにも見えるジョン。その内面を上手く引き出し、複雑そうで案外一番素直な（いい意味でも悪い意味でも）心の内を押さえた演技で見せてます。何箇所かアクションが過剰になるのが気になりましたが、イーサン演じるヴィンスに引っ張られそうになりがちなこの役を、ちゃんと自分のほうに押さえ込んで演じてる。しかしロバートの口からあんなセリフやこんなセリフが聞けるなんて思いもしなかったわ〜。生舞台で聞きたかったなー(笑)。

観終わった直後、少し経ってから、そして何日か経ってから、もう一度あの濃ゆ〜い会話を思い出していくと新たな発見というか、映画の印象が変わっていく作品かもしれない。そして観る人それぞれによってもこの映画の印象は違うのでしょう。会話の面白さ、テンポのある掛け合い、モーテルの一室という閉鎖的な環境の中で三人の内面に深く切り込んでいくこの作品。やっぱり生の舞台で観たいと強烈に思ってしまう。どこかでやってくれないかなあ。英語では無理っぽいので日本語で観たいf^^;。

◆天国の口、終りの楽園（メキシコ）◆

何か、、凄い映画だf^^;。内容あったのだろうか(^^;; 。青春時代のほろ苦いひと夏の物語。。。ってだけの映画だった(涙)。最後の５分がなかったら、ガエルくん捨てるとこだったぞf^^;。夏の思い出が終わってからのガエルくんの表情は非常に良かったです。ここから映画が始まって欲しかったなー。その方が面白いよ。

◆ドニー・ダーコ（アメリカ）◆

好き嫌いの分かれそうな映画。最近、こういうの多いなー。私は好きでした。若手の監督独特の、意味あるんだか無いんだか分からない映像も満載。ラストに向かって怒濤の展開を見せるけれど、結末は「をを〜！」と言うよりも、「あら〜」って感じf^^;。ネタばれされないように観ましょう。ジェイク・ギレンホールとジェナ・マローンの暗さが、映画全体の雰囲気を上手く醸し出していて良いです。

◆友へ　チング（韓国）◆

しっかりした脚本に４人の主演俳優達の力強い演技。それだけでも見応え十分な作品です。小学校で出会い、中学は別々で高校でまた同じ。もう子供ではないけれど、まだまだ幼い中学時代が抜けてる分、４人の考え方や関わり方が微妙に違うのかもしれない、、、と思わせる脚本が上手い。変わっていく友情と変わらない友情。監督の自伝的映画だけあって、人と人との関係がとても生々しく、臭いまでこちらに感じとることが出来るような映像です。ですが、画面をセピア色っぽく仕上げているので、目の前で起こっているような出来事というよりは、少し引いた所から観ているような感覚がありました。ちょっと不思議な気分。前に東京国際映画祭で観た『ツイン・フォールズ・アイダホ』のような映像処理です。この時はティーチ・インがあって、現像処理とか照明のことを監督が話してくれたのがとても印象的だった。

役者では父親がヤクザで自分もヤクザになるジュンソクを演じたユ・オソンがいいです。一度観たら忘れられないような顔立ち(笑)。義理とか人情なんて言葉が似合いそうで、着物を着せてみたいわ(^^;; 。大きなドラマのあるドンスを演じたチャン・ドンゴンも役をグッと自分に引き寄せていて良かったです。もう少し細やかな表現が欲しかったかなという気もするけれど、全編殆ど笑わないチャン・ドンゴンの格好良さにクラクラっとして見逃してたかも(^^;; 。

とても良い映画だと思うのですが、私好みからするとラストの語りはいらないと思う。子供達の姿で終わってくれたら余韻が残って凄く好きな映画になったんだけどな。

◆ドラゴン・プロジェクト◆

東京国際映画祭’05
楽しい〜。香港映画の良さが満載！アクション、恋愛、笑い、家族愛と全てがバランスよく入った娯楽作。あまりスタントを使わなかったというアクションシーンが等身大で良かったです。ダニエルにあまりアクションをさせない意外性も良かった。この手の映画でアンソニー・ウォン（黄秋生）が主役（しかも父親役！）というのも意外。しかし何でもこなしますな＞秋生さん。久々に観た牛馬にもビックリ。脇まで豪華な出演陣でした。ジェシー・ホー(何超儀)はアクションさせるとやっぱりカッコイイわー。
アクションに興奮して、笑って、ホロッとして、ラストはスッキリ！こういう映画を観てしまうと、やっぱり香港映画を見続けたいと思ってしまうのです。スティーブン・フォン監督の今後にも期待大。生ステもとってもステキでした♪

◆トラフィック（アメリカ）◆

混乱寸前の物語をガシッと引き留めた脚本が見事。６時間くらい詰まってるんじゃないかと思うホンを３時間弱にまとめて、見終わった後に混乱を残さない所は凄いなと。その脚本を映画として完成させた監督の手腕も凄いのかも。でも見終わって何となく何か足りないかも…という印象があったのも正直な所。それが何なのかよく分からないのが歯がゆいのですが…。登場人物が少し多すぎるかなあとも思ってしまう。特に混乱はしなかったけれど、もう少し絞り込んでも良かったかなと。ベースの話しがあるから削れなかったのかなとも思いますが。

もう一つ気になったのは凝った撮影。手持ちカメラは緊張感あっていいんだろうけど、長すぎて酔いそうになった(T_T) 。ドイルか？ってちょっと思っちゃったです(^^;; 。色使いとか分かりやすかったけど、そこまでやらなくても良かったんじゃないかな。舞台の違いを念押ししなくても、十分脚本で補えてたと思うけど。

役者ではベニチオ・デル・トロがやっぱり良いです。小さな幸せを夢見て最後まで周りを見る余裕がある役を、説得力を持って演じてる。最後の優しげな満足げな表情がとても素敵に見えました。スペイン語の響きも心地良い(^^)。それに、こんなにせくしぃだっけ？と思わせる所も良いわ(^^;; 。

気になるところはあるものの、今年観た映画の中では好きな作品の１本です。ヒーローが一人もいないところがこの物語をググッと現実味のある方向に引き寄せていると思うのですが、それが最後まで緊迫感と緊張感を保たせてて、そんな所がこの作品に魅力を感じる所。ヒーローっぽい役柄がいるのにも関わらずというところが、また良いです。
しかし元ネタのイギリスのＴＶを観てみたいですねえ。ケーブルでやるらしいですが…ウチは入ってない(涙)。

◆トランスフォーマー（アメリカ）◆

血沸き、肉踊るってのはこういう映画を言うのね〜。製作者の思う壺(^^;; 。観ている間は思いっきり主人公の気持ちになって、１人で大騒ぎでした(爆)。ロボットに変身するところなんて、思わず「をを〜！」ってなりましたよf^^;。私は女子ですが(笑)、子供のころロボットアニメに夢中になったので、アニメが実写になってるーーー！！と大興奮でした。冷静に考えれば、無駄なキャラは多いし、いらないエピもあるし、勿体無い小ネタもあったけれど(笑)、そんな細かいことはあのロボット達が動いているのを見られただけで、全て帳消しに出来るくらいの勢いでした（いいのかそれで…(汗)）。主人公サムを演じるシャイア・ラブーフがヒーローではなく、ヒーロー未満な役が似合っていて可愛かった。しかし何も考えずに映画世界に浸れるのって、やっぱりいいなあ。夏はこういう映画に限るね(^^;; 。

◆ドリヴン（アメリカ）◆

凄い映画でした(^^;; 。なんちゅう強引な展開(･_･;)。始まりを提示しておきながら、その後の過程を描かずにイキナリ結果がポンと出ちゃうエピソードを積み重ねてラストまで突っ走るという。キャラクターの動きに説得力がなさすぎて、何でやねん…と何度も突っ込み入れながら観てしまいました(^^;; 。

「濃ゆい男同士の熱い物語」をそれ程期待してたわけではないですが(笑)、しかし幾らなんでも人間関係の描き方薄すぎ(^^;; 。兄弟、師弟、レーサー仲間、ライバル、昔の仲間、、、描きたくなるような横の繋がりが沢山あるのに、それを思い切って放りだしてる。潔すぎ(^-^;;。そんな訳でキャラクターの魅力がこちらにまるで伝わってこないので、とっても立体感に欠ける映画になっちゃってる気がします。

主人公にあんまり魅力がないのもマイナス点かな。キップ・パルデュー（が主役よね、、、一応f^^;）は、繊細な、触ると壊れそうな若いレーサーを頑張って演じてますが、とにかく役が中途半端なのでちょっと可哀相な気はしました。でももう少し表情豊かに演じて欲しかったかな。凄く一本調子に見えてしまったぞ。役が薄いのであまり目立ちませんが(^^;; 。ライバルのティル・シュワイガーも思いっきり役不足で勿体なさすぎ(涙)。これは演技をする俳優を楽しむのではなく、俳優そのものの姿を楽しむ映画って気がする。

この映画を観た最大の理由はキップの兄役のロバート・ショーン・レナードが出てるからだったんですが、普通に気楽に演じてるって感じでしょうか。適当に薄いキャラを適度に味付けしてるって気がします。こういう嫌われ役ってあんまりなかったですけど、それなりに楽しそうに演じてるかな。そんなにヤな奴には見えなかったんですけど、、、これってファン馬鹿かしら(^^;; 。でも思ったより沢山出てきてるのは嬉しかった(^^)。ダークなスーツもお似合い〜(*^^*)。それにしてもエステラ・ウォーレン、、、許せないわ(^_^;;。

人間関係が薄い代わりに、レースシーンの映像はとっても濃いです。カメラの目線が迫力満点！前の方で観てたら声を出してしまいそうだ(^^;; 。しかしこの脚本で映画を作りあげたレニー・ハーリンってある意味凄いかも(^^;; 。もしかしたらレースシーンだけを撮りたかったのかな。その方が面白かったりして(^_^;;。

◆ドリフト（香港）◆

６月に有楽町スバル座他でロードショー公開されるツイ・ハーク監督の最新作。何だかジャン・クロード・バンダムが出てきそうなタイトルですがf^^;、バリバリな香港映画です。原題は『順流逆流』。英語タイトルは『Time and Tide』。

これがまた、めちゃめちゃ格好いい映画なのです(^^)。ツイ・ハークらしくてツイ・ハークらしくない映画って気もするf^^;。映像がとってもスタイリッシュ。でも間違いなくそこに写ってるのは香港（＆南米のどっかの国）。泥臭いけどスマートって印象。でもアンバランスな感じはないので、スパッと画面に納まってる気がします。バックに流れるジャズっぽい曲もいい感じ。でもそこは香港映画。ちゃんと出演者の歌も入れてるけど(^^;; 。

主役の二人がまたすんごい格好いいのです〜(^^)。ニコラス・ツェーは妊娠させた彼女の為にお金を稼がなきゃ！と頑張っちゃう男の子。突っ走る感じがニコラスらしくって良いです。スーツ姿もバッチリ見せてくれるし、アクションも頑張ってる。やっぱり世界一美しいチンピラだわ(#^^#)。

でも格好いいと言えばウー・バイ(*^^*)。もお格好いいってもんじゃないくらい格好いい男を演じてます。元傭兵で、妻思いで、ニコラスを陰で支えてみたりして。クーーーッ！格好良すぎるーーーーーって叫びたくなるような役所(^^;; 。これは反則でしょう、やっぱり(^_^;;。アクションシーンもコマ落としまくってるのでf^^;、スタント使わないシーンでもかなり格好いいです。

しかしこの映画の陰の主役はやっぱりアクションかも。こんなこと出来るのかっ！ってアクション満載で、アクション指導の熊欣欣、むちゃしてます(^^;; 。でもそれをやってしまうのが凄いf^^;。

◆トレーニング・デイ（アメリカ）◆

ロス市警のジェイクは交通課から異動願いを出して、念願の麻薬課に配属される。新米のジェイクにつくのは伝説の刑事と言われるアロンゾ。緊張の出会いから強烈なインパクトを受けたジェイクだが、行動を共にするうちアロンゾの破天荒なやり方に戸惑い、そして巻き込まれていく。こうしてジェイクの長い長い一日が始まった。

イーサン・ホークの長くて濃ゆい一日…な映画(^^;; 。災難だけど、災難が似合う俳優ですな＞イーサンf^^;。イーサンは悪くないです。ちょっとデンゼル・ワシントンに引っ張られてる感ありだけど、頑張って自分の演技をしようとしてる。でもデンゼル・ワシントン、、、やりすぎだ…。これが脇の悪役だったら全然いいんだろうけど、主役だと全編ずーっと濃いから観てて疲れてしまう。

それにしても、デンゼル・ワシントン演じるアロンゾの考えがイマイチ理解できない。１週間をかけた“自分を守る計画”なのに、何故だか結構いい加減な計画なのですf^^;。その“自分を守らなければならない”原因も、言葉で語られるだけでサラッと通り過ぎてしまうので、観てて納得できないことはないけれど心には響いてこない。この辺りをあっさり描いちゃうので、アロンゾとジェイク（イーサン）の関係が希薄に観えちゃったのかも。もっと濃ゆーく描いて欲しかったな。一日ということに拘らずに、もっと丁寧に描いてくれた方が良かった。

◆トロイ（アメリカ）◆

神話の神々のなせる業を排除してリアルな物語として見せているのですが、それが成功しているかどうかはちょっと疑問かも。リアルな物語として見ると、「何でやねん」と突っ込みたくなる所が沢山あって、、、(汗)。神話なら現実感と非現実感とが解け合って、すんなり受け入れられたかもしれないけれど。しかし疫病が蔓延してるところに置いてあった木馬なんて持ってくんなよ…(涙)。

物語はトロイ寄りで描いているように思えたのですが、そこにアキレウスというヒーローを主人公に持ってきた。それもどうも中途半端に見えてしまいました。しかも個々のキャラクター描写が薄いので(涙)、ストーリー展開に起伏があっても、観ていてノっていけない自分がいました。楽しいキャラが沢山いるのに勿体ない。もっとギリシャ側に重点を置いて描けばよかったのに。

ブラピは身体改造までして頑張ってますが、反逆児というのを伏し目がちでぶっきらぼうに演じるという淡泊な演技に走っているのでキャラクターとしていまいちしっくりこない。ヘクトルの遺骸に布をかけながら泣く場面やブリセウスを必死に探す場面も、こちらの感情に深く入り込んでこないのは勿体ないし、それは主人公として損な演じ方だと思う。眼が死んでるのが致命的。もっとマイナスの魅力を出せる俳優だったら面白かったと思うのだけれど。

反対にエリック・バナはとても素敵。兄貴、大変だねって感じ(^^;;。アキレウスと相対する直前の場面でも、勝つチャンスは殆ど無いことが分かっているという悲哀が感じられてグッと来ます。オーランド・ブルームはあくまで美しく、しかしダメダメっぷりは激しく潔く(^^;;、それでもほっとけないと思わせる次男坊演技が素晴らしい。完璧だ＞オーリー。自分の弟ではイヤだが、友達の弟とかに欲しいかも(^^;;。遠くから眺めていたい子だ。

ショーン・ビーンはアガメムノンとアキレウスの間に挟まれて右往左往する中間管理職みたいなオデュッセウスに涙が出ました。戦う場面が殆どなかったのは哀しかったけど、立ち姿があまりに格好良く、笑顔も素敵で苦悩する所も麗しく、出番も意外に沢山あって堪能いたしました。ショーンでオデュッセイアやってくれないかなあ。観たいぞ。スピンオフしてくれ〜。

◆トンネル（ドイツ）◆

観ている間も何度かウルウルきましたが、観終わって暫くした後の方がかなりグッと来た映画。映画館から駅への道すがら、気を緩めるとホントにボロボロ泣いてしまいそうでヤバかったです。。。実際はもっと泥臭かったと思いますが、こうやって脱出した人、そして失敗した人が現実にいたんだなと思うと、この壁に翻弄された人たちの想いが痛かった。それは脱出した人だけでなく、東ベルリンで壁の警備をしている兵士が銃を構えながら壁に近づく人を見るときの悲痛な顔、そして撃たなければならない現実。東ベルリンで生活することを選んだ人たち。これが実話をベースにしている映画だという重みが、心の中にズッシリとのしかかってきます。旅行でたった３日間だけ滞在したベルリンの風景や、出会った人たちが頭の中をぐるぐる駆けめぐって、観終わった後は暫く現実に帰ってこられなかったです。ちょっと危ない(^_^;;。いや、マジで電車の中で不意にウルウルしてしまったのですよ。。。ヤバ過ぎ(汗)。

私がベルリンに行ったのは壁崩壊から２年後だったのですが、その頃はまだ少しだけ壁が残っていました（今もあるかは不明）。ベルリンで泊まったのは旧東ベルリンの一般家庭のお宅だったのですが、壁崩壊時の話しも色々と聞かせてくれました。沢山の写真を見せて頂き、壁のかけらも見せて貰いました。そしてそれまではまともに見ることも出来なかった壁を初めて触った時は興奮したと話してくれた時、そこにあった物は本当に不自然な物だったのだなと。

167分という長尺の映画ですが、観ている間はその長さを全く感じさせない力強い作品です。キャラクター描写も丁寧でドラマもぎっしりですが、重すぎも軽すぎもしない。分断や統一というと韓国映画を思い出させますが、そこで描かれる悲劇や政治的背景はここでは殆ど語られません。脱出という自由を求める人たちの闘いの日々に焦点を絞って、グッと熱く描いていきます。エンターテイメントしながらも、そこに史実を上手く重ねて「自由」という大きなテーマを鮮やかに描ききったのは見事だと思う。壁という"不自然な物"がそこにあったという事実を忘れないためにも、多くの人に観て欲しい作品。