◆A.I.（アメリカ）◆
平坦な脚本を力業で演出した作品、、、というのが観た直後の感想。今もあんまり変わってないけど。賛否両論、、、なのでしょう。ハーレイ演じるデビットにノッていけるかどうかってのが境目なのかな。テーマ的には厳しい気がするのだけれど。こちらが好きだから、相手も好きになるべきだってのはちょっと受け入れ難い。デビット自身は愛を求めてないのかもしれないけど。何て言うのか「心」を感じないんですよね。ロボットだから当たり前なのですが、この辺りはやっぱり限界なんじゃないかなあと思ってしまう。そういうこと考えなければいいのかもしれないけれど、やっぱり考えちゃう。「嫌い嫌いも好きのうち」って考えは、ロボット・デビットには受け入れられないものだったりするのかなあとか余計なことを考えちゃったりもするのだわ(^^;;
。
全編出ずっぱりのハーレイは頑張ってます。しかし健気なだけでは既に泣けないわ(^^;;
。ジュードは凄く楽しそうに演じてたけど、キャラ薄すぎ(泣)。脚本が平板過ぎると思うのです。デビットに比重を置き過ぎて物語に広がりを感じないってのは辛いし、楽しそうなキャラクターが沢山転がってるのに、それを描かない（或いは中途半端に描いてる）のは勿体なさすぎる。人間側をきっちり描き込めば、もっと違った見方が出来たかも知れないな。うーん…。
◆CHICAGO（アメリカ）◆
舞台版のインパクトが余りにも強いこの作品。映画としてどう映像化するのかと思っていたけれど、舞台版の良さを残しつつ映画にしたという印象です。ショー場面をロキシーの創造の産物として文字通りショーとして映像化するというのは楽しいアイデア。これならミュージカルを見なれない人が感じる、いきなり歌とダンスが始まる違和感が余り無いかもしれない。しかも舞台版にあった歌の前口上を、映画でも使ってるのは嬉しい(^^)。
演出と共に振り付けも担当したロブ・マーシャル。ドラマを掘り下げずにショー場面を生かした演出はとても潔い。フォッシーの味を微妙に残しつつもロブ・マーシャル色を出しているダンスは観ていてとても楽しくて、画面に収まりきれないワクワク感がありました。主役の３人がミュージカル俳優ではないためカット割がかなり忙しいのは残念だけれど、それを差し引いてもロブ・マーシャルの振り付けは好きだ。特に６人の女性囚人が歌い踊る“Cell
Block Tango”がむちゃくちゃ格好良くて、舞台で観たい〜〜と座席でジタバタしてしまいましたよ(^^;;
。ナマで観たら素敵だろうなあ。赤サスが入るところなんて、きっとドキドキものだ。
俳優もとても頑張ってる。ドラマにそれ程焦点を当てずに歌とダンスをメインに出したから、レニーよりゼタ嬢の方が魅力的に見えてしまうのは仕方ないか。ロキシーというキャラクターは、やはり演技で見せる部分はとても難しいと思う。その分、歌とダンスで魅力を出せれば良かったのだけれど、流石にレニーにそれは酷だったか。でも十分健闘していたと思う。ゼタ嬢は迫力満点。流石に音は違うだろうけど、リチャード・ギアのタップも見事。
そしてロキシーの旦那役のジョン・Ｃ・ライリー。いやー、あんなに歌える役者だったとは！が、、、CHICAGOの中で一番好きなナンバー“Mister
Cellophane”があまり心に響いてこないのだった…(涙)。舞台を観たときは、前半のエイモスが本当にセロファンみたいな印象で存在感ゼロの役者だなあと思っていたのですが、それがこの曲を聞いた瞬間「やられた〜」と仰け反ったのですが(泣)。でもそれは私がジョン・Ｃ・ライリーのファンで、余りに期待しすぎていたからなのかもしれないけれど…。それを思うとオリジナル舞台版のジョエル・グレイは流石だったのかな。
◆dot the ｉ
ドット・ジ・アイ（イギリス・スペイン）◆
こういうのに弱い私。しかしネタばれしそうであんまり感想書けないなあ。こういうのが好きな人は好きだと思います＞おひ。ってことで、話しの内容はおいといて役者のことを。
ガエルくんは女の子に振り回されてるって感じが可愛い♪でもこの役は可愛いじゃなくて、野性味のある危ないラテン男の方が合ってると思ったりもします。ガエルくんにはラテンの男っぽい野性味をあんまり感じないんですよねえ。何でだろ。特にすっきりし過ぎてるとは思わないのですが。『アモーレス・ペロス』の頃が一番ギラギラしてた気がする。なので実は微妙にミスキャストじゃないかと思ってしまうのです(汗)。エドゥアルド・ノリエガならピッタリだったと思うんだけどな。監督はこの役はガエルに！と頑張ったようなのですが、、、。
ナタリア・ヴェルベケは『パズル』の時はあまり印象に残らなかったけれど、この映画の方がキリっとしていて綺麗だ。そうか、ノリエガと彼女では『パズル』になってしまうわね。またピヨピヨされても困るので、それは勘弁だなf^^;。
でもこの映画のキモはジェームズ・ダーシーでしょう〜＼(^^)／。めちゃくちゃ楽しそうに演じてる。やり過ぎなくらい(^^;;。あの王子様演技は背中が痒くなるくらいこっちがテレてしまったわ(^_^;
。嫉妬心でイライラしながらも、彼女が好きだという心は変えられない〜と苦悩する所も可愛い♪しかもちょっとゲイっぽいところが更に良い(^_^;
。エイダン・ギレン＠QAF入ってた気がする。しかし王子様でQAFって凄いキャラだな(^_^;
。
◆es（エス）（ドイツ）◆
人間の深層心理は解かりにくくて複雑だというのをまざまざと見せ付ける映画。自分の行動の善し悪しや、その区別が頭では分かっていても、一歩間違うとその判断が出来なくなったり、周りの状況に流されてしまう恐さ。映画の中では、「看守」と「囚人」という区分された立場の違いによって、個人が段々と変わっていってしまうのがハッキリと分かります。この「実験」で恐いのは、被験者が全く普通に社会生活を送っている人であるということと、お互いが「実験」であるということを前もって分かってやっていることだと思う。それでも人は、立場を与えられてその「職務」を忠実に実行しようとすればする程、普段では考えられないような行動に出てしまうものなのだと。常軌を逸してしまった行動に出た看守の一人を演じた人は、きっと実生活ではものすごーく真面目な人なんだろうなと思わせるし、不器用に生きてきた人なのかもしれない。
映画は順撮りしたようなので、観ている内に段々と異常な空気が流れてくるのが分かるし、殆どの舞台が仮想刑務所というのもあって、舞台劇のような緊迫感があって話しにグイグイ引きこまれていく上手い作り。こういう直球なのも良かったけれど、もう少しヒネリがあっても面白かったかも。それでも、この作品の持つ“凄み”は観終わった後も心にクッキリと残ります。
出演者も的確で手堅い演技の出来る人が多いので、その点でもとても見応えある作品。モーリッツは相変わらずキュート(^^)。内包する感情が徐々に見えてくる辺り、いい演技してます。
◆HERO〜英雄〜（中国）◆
映画史に残る激しく、美しい武術シーンを見せた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』。10年余りを経て見せる二人の対決は、凄みのある二人だけの本物の世界を画面に鮮やかに焼き付けている。李連杰（リー・リンチェイ）と甄子丹（ドニー・イェン）。もっとキレのある、迫力ある武術シーンは他にもあるけれど、ここまで深みがあり、一つ一つの動きに意味を持たせ、その全てが美しい武術シーンはなかったかもしれないと思わせるほど。流麗さの中に、強く、激しく、美しい力を感じさせる。二人の対決シーンを観られただけで、この映画に満点をあげてしまいそうになるくらい凄い。
ワイヤーワークを安易に使う映画が多い中で、これこそがワイヤーワークだっ！と言いたくなるような、不自然な中に自然な動きを見せるアクション。至福…。
立ち居振舞いに気品と凄み感じさせてくれる、ドニー・イェン演じる長空がむちゃくちゃ格好いい。お得意の開脚ジャンピングキックもキレがあってウットリ(^^)。リンチェイも久々の中国語圏映画。しかも古装片（時代劇）で戻ってきてくれるなんて、とても嬉しい。
映画は恐らく好き嫌いがハッキリ分かれるのでしょう。武侠映画と言われているけれど、これは武侠映画ファンには認められないかも。チャン・イーモウは確信犯的にその辺りをコントロールしているように思えるので（多くの人に観てもらえるように映画を作ったと言っているようです）、普通の時代劇として観た方がいいかもしれません。
１つの物語を視点を替えて語るものの、画面の色を変えて雰囲気の違いを見せることに重きを置いていて、その描き方はシンプル過ぎるくらいシンプル。腰を落ち着けてじっくり物語ることを放棄して画面の美しさに重点を置いたことは、潔いと感じるか、深みがないと感じてしまうか。人物を深く描くより、大きな物語として迫力ある映像をスクリーン一杯に描ききったのは流石と言えるのかもしれません。それでもトニー・レオンとマギー・チャンが人物描写を丁寧に細やかに演じてくれるので、深い味わいを残す作品になっていると思います。でもやっぱりこの映画は、あの二人の武術シーンだわ。
◆Interview（韓国）◆
フランスで映画の勉強をした若い監督チェ・ウンソク。韓国に戻った彼は「愛」についてインタビューをしたドキュメンタリー映画の製作を進めている。大勢のインタビューを取るためチームは別れてインタビューを録っているのだが、そのフィルムのチェックをしていたウンソクは、一人の女性に目を留める。それはカフェにたまたま居合わせた女優のインタビューを録ったとき、その友人だということで軽い気持ちでインタビューを試みた、美容師見習いイ・ヨンヒという女性。明るい女優と対照的に、寂しげな表情を見せるヨンヒ。ウンソクはそんなヨンヒに興味を持ち、自らカメラを抱えて何度もインタビューを試みる。彼女のその寂しげな笑顔の理由は、、、。
街頭で実際に「愛」についてのインタビューを行った映像と、ウンソク、ヨンヒらの物語を混ぜ込んだ実験的様相の大きな映画。有名人もいるみたいですが、私にはそれが誰だか分からなかったです。カメラの前で語る彼らの言葉は本当に真実なのか。観ている方には明確にはそれは分からないし、きっと本人にしか分からないこと（そして時にはその相手にしか）。その辺りのカメラの視線がとてもクール。そこには監督（実際の）の感情は入らず、ただ静かに見つめているだけ。これが映画を観ている観客に語りかけるものは何なのだろうか。。。そして、そこにあるかも知れない物語の一つが俳優が演じるパート。そのフィクションの部分を観ていると、監督の目は決してクールなものではなかったのかもしれない。そう言えば『The
X-files』か？みたいなテロップがあって、思いっきり反応してしまいました(^_^;;。。。。真実はそこにある。
この映画はアジア初のドグマ映画。でもアジアの映画にはドグマ的なものは多くあると思うので、あまり新鮮味はない気がします。それより光と陰の部分を、もっと魅力的に撮れそうなのにと思うとちょっと残念かも。シム・ウナが廃虚の教会で踊る所なんて、建物に入ってくる光の使い方を上手く利用すればもっともっと美しい場面になったのに。シム・ウナはとても美しかったですが。
インタビューされる女性を演じるのはシム・ウナ。何でもないインタビュー映像だけでも、その美しさは自然と醸し出されてくるから凄い。すぐ隣にいそうで、でもやっぱりいないキリッとした存在感。シム・ウナはどの映画で観ても演じ方が自然。
映画監督を演じるのはイ・ジョンジェ。おフランス帰りという雰囲気たっぷりで、その物腰がとれびあ〜ん(^^;;
。ちょっと伸ばした髪型もイヤらしさを醸し出していてよかです(^_^;;。フランス語もいい感じで響いてきて凄く自然に聞こえたけど、全然意味分かってないので上手いのかどうかは不明(笑)。でも上手く聞こえた。ファンなので(おひf^^;)。
映画作りの仲間とはどことなく一歩引いたように接しているクールな面と（この辺りは映画監督という立場からかもしれないけど）、イ・ヨンヒにどうしようもなくのめり込んでいく姿のギャップが鮮やか。思い通りにならず、昔からの友人であるプロデューサー氏と空に向かって大声で叫び声をあげる姿も自然な感じで良いです。この罵声を聞いて怒った人から走って逃げる姿も潔し(^_^;;。この２人が逃げた道の映像は、オレンジの街灯の明かりの効果もあって、とても美しかった。
良い映画だと思うのですが、どうも何かが少しずつ足りないような気がします。映像の面もそうだけれど、ストーリーの細かい部分や、キャラクターの描き込みが少し足りないところも勿体ない。シム・ウナの役はいいと思うけれど、ジョンジェの役はもう少し掘り下げて欲しかった。何故ヨンヒにのめり込んでしまうのか、いまいちよく分からなかったし。
最大の謎は、ウンソクがヨンヒに気がついていたかという所。それならのめり込みの理由も何となく分かるけど、そこが描かれてなかったので最後まで釈然としないものが残ったのでした。エンドクレジットでの映像ではどちらか計りきれない。それともどこかでそれらしいサインはあったのだろうか。見逃してたら泣ける…。あと何度も挟まれる「映画は最初の五分が大事」という話し合いの映像。何か意味あったのだろうか…(･_･?
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◆JSA（韓国）◆
韓国史上最高の興行収益を上げた『シュリ』を抜いたと言われる作品。南北問題を扱った作品としては、３作目になるのだそうです。ロミ＆ジュリのような悲恋を扱い、チェ・ミンシク演じる北の兵士を熱く、激しく描き、街中での銃撃戦を見せた『シュリ』のような派手さはないですが、観終わった後に深いものが残るのはこちらの映画でした。
それは越えようとして越えられなかったものに対する、何とも言えない無力感というか哀しみ。歴史とはこれ程までに深くて残酷なものなのかと。そこには人の心だけでは越えられない、何か大きな力があるのか。越えられるはずだと思いたい気持ちがまた哀しみを大きくさせます。
でもこの映画の凄いところは、語りたいことを語りながらもエンターテイメントしているという所だと思うのです。サスペンス的なところを前半で描き、真実を語り、そして現実を見せる終盤。中盤での兵士達の姿がとてもステキで良いです。全体の映像と語りは本当に上手い。音楽の使い方も、韓国の人たちにとってはかなりツボなものだったようです。知らなくても、語る音にグッとくるものがある。間違いなく“今”観るべき映画。
◆LOUISE（TAKE２）（フランス）◆
町をぶらぶらしては万引きして洋服などを手に入れているルイーズ。ある時地下鉄構内で出会ったホームレスに頼まれて彼の息子のギャビーを学校から連れ出す。が、ドラッグ漬けのホームレスに会わせるのをためらったルイーズは、偶然出会った別のホームレスの青年レミとギャビー、そしてストリートギャングの恋人ヤヤとパリの町中をいつものようにぶらつく。。。
映画は大きなストーリーがあるわけではなくて、街を徘徊する彼らの姿を小さな事柄を挟みながら進んでいくという形。特に大きな事件が起こるわけではないのだけれど、「淡々と」という印象がないのが不思議。ルイーズ達から一歩離れたところで自分もパリの街角にいるかのような感じさえしました。手持ちカメラにザラザラした映像が余計にそう感じさせたのかも。カメラが彼らの後ろを追っていく映像も多いし。そんな不思議な感覚があったのが前半から中盤にかけて。でも後半、ちょっと雰囲気が変わっちゃうのが勿体ない。落としどころを探してるのかなというような感じだった。
◆ＮＹＰＤ１５分署（アメリカ）◆
ユンファのハリウッド進出第二作目。１年以上待たされて『アンナと王様』より後になっちゃったけど、王様とも１作目とも違うユンファが観られるのが嬉しい。
今回のユンファは汚職警官という、香港時代にはありそうで無かった役柄。こんな感じの悪い人ユンファってのはやっぱり無かったもんなあ。黒社会の人を演じてても、その世界ではちゃんと生きてる人だったし。ちょっと丸いユンファ(^^;;
が役作りかどうかで友達ともめたのですがf^^;、小金を稼いで私腹を肥やしてる役だから、丸くってもおっけーなのね。痩せてたほうが嬉しいですが(^_^;
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共演はマーク・ウォルバーグ(*^^*)。マークもこの役のために何キロか増やしたそうですが、そう言われてみるとちょっと丸っこいですね。今回は終始厳しい顔つき多いけど、格好良くて溜息ものですわ。チラッと廣東語を喋るマークがいたりしてキャーだし(意味不明…)。
今回初めてアクション映画を撮るという監督のジェームズ・フォーリーには『摩天楼を夢みて』で惚れ込んだので、もうちょっと物語性が濃いのかと思ってたけど意外やストーリーに緊張感があんまりなかった。つまんなかったというワケではなくて（というより私はかなりノリノリf^^;で観てた）、人間関係が濃ゆいのを期待してたんで。でもやっぱり主人公２人の関係は、もっともっと深いものが欲しかったなあ。折角の配役が勿体ない。それでもユンファとマークという俳優の魅力で最後まで映画を引っ張っていってくれるのは流石です。
◆OVER SUMMER（香港）◆
→→→ 『OVER
SUMMER』Special Page！
〜〜2000年秋の香港映画祭で観た作品。2001年夏に一般公開されてます。〜〜
映画祭では直前の映画『12夜』で「イーソンらぶ〜」だったのですが、やっぱり私はン・ジャンユーさんのもの(爆)←おひ(^_^;;。あんまり素晴らしすぎてクラクラしたです。
ハードボイルド刑事物語かと思ったら人間ドラマだったという話しを以前に聞いていたのですが、確かにそうでした。ドンパチ（古いな…f^^;）はそれ程ないし。ン・ジャンユーさん演じるマイクの内面を物語の中心に据えてるからだとは思うのですが、それがこの映画に独特の雰囲気を与えているのだと思います。脚本、演出、エエ仕事してます(^^)。
しかし何より素晴らしいのがン・ジャンユーさんの演技！もう上手いってもんじゃないです。演技してるって感じが全然しないんだもの。孤児院育ちの孤独感、愛情への憧れ、親への思慕、そして刑事という仕事の上での激しさ、、、という複雑な役柄を、実に細やかに、鮮やかに、時に大胆に観せてくれるのです。お見事というしかない、何という自然な演技。これで金像奬（香港アカデミー賞）を獲れなかったのはとても残念だけれど（『暗戦』のアンディもとても良かったので）、ここまでの演技をしてくれたのなら獲れなくても大満足。ＫＡＮＩ賞あげるわっ！ってなもんです（いらねえよ…(--;）。
反面、相棒のルイス・クー（古天楽）の役柄が直線的でちょっと深みが足りない（それでも所々ぐぐっと来るところはあるのだけれど）のが少し気になりましたが、でもバランスは良かったのかな。このくらいの方がお互いを潰し合わなくていいのかも。
ン・ジャンユーさんの相手役の林美貞が、暖かみを醸し出してて良かったです。マイクが惚れるのが分かる説得力のある演技。
この作品で2000年の金像奬主演女優賞を獲ったロー・ラン。怪演f^^;。あんな濃ゆい役なのに、全然暑苦しくないんだもの。ともすればイヤミに見えそうなのを、段々と可愛いとさえ思えるおばちゃんに仕上げてる。素晴らしいです。
作品としては『鎗火（日本公開タイトル：ザ・ミッション／非情の掟）』の方が一枚上だと思いますが、ン・ジャンユーさんの素晴らしい演技という宝物を得たという点で（『鎗火』のン・ジャンユーさんも最高にクールで格好良いのですが(*^^*)）、この映画祭一番のお気に入り作品でした。
◆PLANET OF THE APES／猿の惑星（アメリカ）◆
あー、ラストがよく分からん(涙)。それが気になっちゃってあんまり中身覚えてない(爆)。何となく盛り上がりに欠けるというか、淡々と話しが進んでいったなあという印象でした。それは途中で飽きてしまうというものではないのですが。
主人公を猿にした方が面白かったかもと思ってしまうのだけれど…。リメイクではないのだから、そういうのもありかもと。彼らから見たみょ〜な人間レオという風に、客観的にレオを観た方が面白い気がする。何せレオ、、、キャラ薄すぎよ(涙)。というか、人間側全員キャラ薄々。エステラ・ウォーレンなんて何でいるのかよく分からん…。
しかしティム・ロスとヘレナ・ボナム・カーターは流石の演技。キャラクターも結構魅力的なので、レオを演じるマークよりもそっちに目がいってしまいました。
ラストは笑撃とか失笑とか聞いたけれど、私の中では「え？何で？」ってなっちゃいました(涙)。色々深読みしてみたけど、正解が欲しい。教えて＞ティム・バートン！
◆PROMISE（中国）◆
原題は『無極』。
ニコ！ニコ！ニコ〜〜〜！！！（この時期(2006年)この名前を叫んでいるとF1のロズベと間違えそうだがf^^;）いやー、何であんなに可愛いかなあ。しかも何て艶やかなんでしょ。思わず画面に向かってサムアップf^^;。大仰に楽しそうに演じている姿が画面から弾け跳んできそうでしたよ。扇使いも美しくてホレボレする。北侯爵様でスピンオフして欲しい〜〜。監督は替わっても良いから＞おひ。それかニコとリウ・イエくんの部分だけのDVD出して欲しいわ(^^;;
。ダース・ベイダー状態のリウ・イエくんf^^;は、本家以上？の悲哀を感じさせてくれて最後は男前でした(涙)。しかしドンゴンを後ろから羽交い締め(違)したときは、「え？そーゆー人だったの？」と思ってしまいましたよ…(汗)。
そしてう・わ・さのドンゴン走り…。本人的にはいーのか？これはf^^;。しかしビジュアルも濃いが芝居も濃い！つーか、益々濃くなっていく気がするのですが…(汗)。『タイフーン』が怖い。既に予告編だけでお腹一杯だし(号泣)。あれが２時間続く…んだろうな(大汗)。ミヨンさんも濃い芝居するしなあ。ジョンジェが薄く見えるかも(爆)。
真田さんはもう貫禄タップリですな。演技にも余裕が見える。そして馬で駆ける姿も立ち回りも美しい〜♪立ち姿が綺麗だ。セシリアは台詞の吹き替えもさせて貰えなかったし、厚化粧で顔が良く分からないしで、何故この役がセシじゃなければいけなかったのかが分からん(涙)。
◆Re:プレイ（イギリス）◆
病院で目覚めたライアン・フィリップは記憶喪失になっている自分にショックを受ける。そして彼はその病院で不思議な体験をすることになる。時空を越えて何度もリセットされる世界。自分だけはリセット前の世界を覚えている。どれが現実なのか。そしてその先にあるものは。。。
ラストを知ってしまうと意外と呆気ないですが、そこへたどり着くまではライアン・フィリップの気持ちになって観てしまってなかなか面白かった、、、と思う(^^;;。既に記憶が曖昧m(_._)m
。でもこの手の映画は素直に観るに限る。まい・らぶり〜・ロバートはライアン・フィリップの兄役。物語半ばまで出てこなかったので途中でもの凄く不安になったのですが(笑)、結構重要な役所でした。金持ち兄弟なので、すんごいお城に住んでいるのですが、そういうロバートもいいわ〜(笑)。お友達になりたい。
◆ROCK YOU！［ロック・ユー！］（アメリカ）◆
中世のヨーロッパを舞台に、馬上での槍試合を通して夢、友情、恋を描く青春映画。真っ直ぐなストーリー、単純だけれど迫力ある競技。分かりやすい(笑)。でも良い映画だと思う。夢に向かって走っていく主人公を縦糸に、友情や恋の横糸を散りばめています。とても泥臭い映画という印象。でもその両方をちゃんと描いているので、中途半端感が全然ないのです。主人公のキャラクターを一本の木として成長させて、その脇を彩るキャラクターも個性的だし描き分けも上手い。誰でもが安心して楽しめる活劇になってます。
主人公ウィリアムを演じるのはヒース・レジャー。前に向かって突き進んでいく逞しさと激しさ、そして時折垣間見える優しさがいい感じ。ユーモアもあるし、ちょっと天然ボケっぽいところも可愛い(^^;;
。従者を演じるマーク・アディの大きさ（身体じゃなくてf^^;）、鍛冶屋ローラ・フレイザーの気の強さと優しさ、めっちゃストレートな悪役ぶりを見せるルーファス・シーウェルくん(^^)。そして若きチョーサーを演じるポール・ベタニー！前口上がむちゃくちゃ派手派手で格好いい〜〜。
◆SAW−ソウ−（オーストラリア）◆
脚本の勝利。一発芸という気もするけれど、最後まで緊張感を持続させる展開に内容共々ゾクゾクさせられました。低予算でも練られた脚本ならここまで見せられるという作品。犯人はともかく（ちょっとおひおひって感じf^^;）、ラストの落とし方は見事。でも人形はやっぱり怖いのよ(涙目)。まともに画面観られなかった…。そして内容も衝撃的だけど、ケアリー・エルウェスが横に大きくなってたのも衝撃(号泣)。
◆SEEET SIXTEEN（イギリス）◆
ステキなタイトルとは裏腹に、ビターな１６歳を迎えるリアム。ケン・ローチの描くこの少年の世界は厳しくて、辛くて、観てて哀しくなってくるような現実を突きつけてくるけど、不思議と焦燥感がなくて、それでもちゃんと明日を生きていくんじゃないかなという小さな光がまだある気がする。カメラは客観的だけど、何となく優しい視線に見えるんですよね。アップよりも、全体像を撮った画面の方が印象に残っているからそんな気がするのかな。寄った画面って殆どなかった気がするけど。
細部にまで気を配った脚本は流石にケン・ローチ。人物描写もとても丁寧で、どの登場人物も何らかの問題を抱えてる人たちだけど、愛すべきキャラクターに仕上げてる。ギャングも何かいい感じ。しかし一緒に観た仲間内ではリアムの親友のピンボールが一体どうなったのかがハッキリ分からず、見終わった後大論争したのでした(^^;;。いや、分かるんだけど何かヒントが欲しかったよねと。これってハリウッド映画に毒されてるのかしら(大汗)。
◆SPL（殺破狼）（香港）◆
東京フィルメックス'05
濃ゆい！渋い！痛い(涙)！！濃密な97分の物語を堪能。でもウィルソン・イップ（葉偉信）ってこういう映画も撮るんだ〜とちょっと新鮮でした。いつもメインキャラに死の影が付きまとう監督の作品。この映画でもサイモン・ヤム(任達華)演じる警部が脳の癌に冒されているという設定。クレジットのトップはドニー・イェン(甄子丹)でしたが、私の中での主役はサイモン・ヤム。黒社会のボス（サモ・ハン・キンポー）を逮捕する事に執念を燃やす警部役。警察のルールを無視して突っ走る、善と悪との間にいるような人物を、緊迫感たっぷりに演じてました。
バイオレンス満載な作品の横糸には父と子の穏やかな関係を配置して、映画に奥行きを出してます。黒社会のボスにも子を思う父の情を与えている。この辺りのドラマを描けるところがウィルソン・イップの幅の広いところ。脇役にも気を配ったキャラ設定が作品に深みを与えています。淡い色で穏やかな雰囲気を出す海辺のシーンと、暗く濃い夜の場面が多いバイオレンスシーンとの対比がとても印象的。
キャストはとにかく渋いです。サモ・ハンの徹底した悪役キャラ作りに感心。デカイ身体で凄まれるとやっぱり怖いです。そしてあの身体でドニー・イェンと戦う（吹き替えもあるだろうけど）のだから迫力満点でした。ドニーとウー・ジン(呉京)のバトルも凄まじかった。つーか、ウー・ジン怖すぎ(涙)。ナイフ持って走ってこないで！って感じ(笑)。ドニーはアクションあり、ドラマもありで美味しい役。しかし油断しちゃいかんね(笑)。
◆SPRIT（中国・アメリカ）◆
リンチェイ最後の弁髪姿を眼に焼き付けてきました。とにかく語ることは全て語ったというリンチェイ渾身の役作りだったと思います。映画は霍元甲（フォ・ユェンジャ）の人生を駆け足で追っていくのでジェットコースターのように突っ走って行くのですが、分かり易い展開で最後まで飽きさせずに見せてくれます。『ダニー・ザ・ドッグ』の時は子犬のような笑顔にドキドキしてしまいましたが(笑)、この映画では貫禄さえ感じさせてくれる佇まいにホレボレしました。打ち合いも良かったけれど、草原で見せる型の美しさが素晴らしかった。中村獅童は冒頭と最後に登場。出番は少ないけれど、強烈な印象を残す役を好演。田舎で出会う盲目の少女役のスン・リーが可愛かったわー。
◆THREE（韓国、タイ、香港）◆
韓国、タイ、香港の監督によるオムニバスホラー映画。韓国のストーリーは少し『シックス・センス』が入ったような話しで、途中でバレてもいいような作りだけれど、もう少しそれが分からないような展開だと興味を最後まで持っていけてかも。広角レンズを使ったところが何だか不気味だった。あと音が異様に怖い(^^;;
。でもこう見ると『アザーズ』を作ったアメナーバルはやっぱり凄い監督なんだなと正直思ってしまう。。。
タイ偏は人形が対象になった話し。最初にそういうテロップが出て、その時点で既に怖かった。。。でも内容自体はホラーとして怖いというより、人の欲とか心の透き間を見据えた怖さ。最後の部分が人の弱さを更についているようで怖い。
香港偏はピーター・チャンらしい丁寧な作り。脚本がとてもいい。復活をテーマにした夫婦愛の物語。重くなってしまう話しを、エリック・ツァン演じる刑事を絡ませることで少し軽くさせたのは上手い。この部分の柔らかさがあるからこそ、夫婦間の想いの深さがより鮮明になるのだと思う。
クリストファー・ドイルのカメラは、それと気がつかないほど意外にシンプル。色味を少し落とした映像は、ドイルというよりやっぱりピーター・チャンの映画という感じ。ティーチ・インで監督が言っていたカットした部分（エリック・ツァンの息子が父親にサヨナラを言うシーン）は残した方がいいような気もするけど。。。息子の役割がイマイチよく分からなかったので。2003年公開予定。
