◆愛・作戦（香港）◆
第17回東京国際映画祭のアジアの風部門の作品。
ラブ・コメか普通にラブストーリーかと思っていたので、麻薬絡みのギャングが出てきて銃撃戦が始まるという物凄い展開にビックリでした。映画間違えたかと思ったf^^;。でも歌ってるとき以外であんなにマジ顔のイーソンは久しぶりかもf^^;。直前に『ティラミス』を観たのがいけなかったのか(笑)。しかしラストは辛い…(涙)。
◆愛していると、もう一度（香港）◆
東京国際映画祭’05
華仔の華仔による華仔の為の映画。久々のアンディ出血大サービス愛の哲学満載映画(笑)。元ファンとしては懐かしいかほりのする作品でした。昔やったファンタ一日アンディ特集でかかっていても違和感なし(遠い目)。しかし10数年経っても変わらない映画を作れるアンディってある意味凄いのかも。しかし以前と違って香港映画も沢山観ているし、路線として似ている韓国映画も観られるようになった今の時代、ファンにはどう映ったのか。ファンなら楽しめるのか、ファンだから楽しめないのか難しいところだと思いました。
大筋自体は悪くない作品だと思うのです。イギリス映画『ハート』のようにドロドロにならないまでも、残されたものの苦悩というものは十分に感じる。でもアンディに二役させた意味があまりないのではと思うほど、二人のキャラが似ていた。これはむしろ違う俳優で演じたほうが、医者役のアンディのキャラが際立ったんじゃないかと思う。しかしシャーリーン・チョイと夫婦ってのはどうよ。親子とまでは思わなかったけれど、何だか微妙に違和感が…(笑)。「嫌な奴の役をやるとファンが悲しむ」とのアンディの考えで二役のキャラが似てしまったとティーチインで監督が言っていたけれど、むしろシャーリーン・チョイと夫婦という役の方が微妙な気がする(笑)。シャーリーンも若妻というより、だだっこって感じだった…(汗)。その点、チャーリー・ヤンは人生経験を積んでいるというのが、彼女自身にも役柄にも出ていていい演技してました。
◆愛する者よ、列車に乗れ（フランス）◆
画家ジャン・バチストが亡くなった。その葬儀の為にパリからリモージュへ向かう彼の関係者達。列車の中、葬儀、屋敷と場所を移しながら、彼と深く関わった者達が抱える個人の問題や、互いの関係をもう一度見つめ合う２日間の物語。
冒頭からかなりの混乱振りです。何しろ本当に主要な登場人物が一体誰なのかよく分からない(^^;;
。フランス映画を沢山観ている人には分かるのだろうけれど、私には馴染みのない人ばかり(涙)。パスカル・グレゴリー、ヴァンサン・ペレーズ、トランティニャンくらいしか顔と名前が一致しなかった(汗)。そしてこの混乱に拍車を掛けているのが、ジャン・バチストのインタビューテープの台詞と、現在進行形で起きている画面と台詞が思いっきり交錯していること。まるで関係のない部分もあるし、リンクしている所もある。少々混乱気味だけれど、よく観ていると上手い作りだなと思う。特にルイを見せる所は上手いなと思いました。この辺りは演劇的と言えるのかもしれない。インタビューテープも３人が喋っていて、誰が誰だか分からなくなるのではありますがf^^;。とにかく映画の前半は台詞だらけなので(^_^;;。しかしここでめげてはいけない(笑)。混乱した所はもう諦めて次へ進む。進んでいくうちにこの混乱振りに慣れてくるし(笑)、葬儀、屋敷へと移るうちに人間関係も落ち着いてきます。
そしてジャン・バチストが亡くなったことで再び出会うことになった人達の、個人の悩みやそれぞれの関係の問題が大きく噴出してくることになる。過去の恋愛、病気、夫婦の問題…。互いの感情をぶつけ合い、混沌とした中から生まれてくるものは、不確かな未来への希望や自分の過去との決別など様々。
それは爽やかとまではいかないけれど、妙に穏やかな気分にさせてくれる。ここまで来ると、前半の複雑な人間関係が完璧に分からなくてもいいんだと思える。というより、あの攻撃的にさえみえる前半の人物紹介があってこそ、このラストが穏やかに感じられるのかもしれない。問題は全て解決するわけではないし、そこからまた新たな問題が生まれるのかもしれないけれど、手探りであってもゆっくりと前に進む彼らの姿がジンワリと感動でした。
役者はとにかく上手い人が揃ってます。誰もが印象的な演技をしてる。しかも男達がめちゃくちゃ色気があって素敵なのです(*^^*)。ほとんどがゲイの役だったりしますが(^-^;;。ジャン・バチストの元恋人の一人フランソワを演じるパスカル・グレゴリーの存在感は流石。画面の中で非常に絵になる存在です。ラストの爽やかに寂しげな表情が印象的。フランソワの元恋人で、ジャン・バチストの最後の恋人でもあるブリュノを演じるシルヴァン・ジャックが妖しく美しい。冒頭のカフェから出てくる所の扉を開ける手の使い方が、何とも言えずセクシー♪フランソワとブリュノへの愛に苦悩するルイを演じるブリュノ・トデスキーニが、純情で可愛くて、男にも魅力的なのかもしれないけれど、女でもほっとけない(^^;;
。そして彼の眼がいい。みんなが集まっている列車の個室に入るときに「入ってもいいか？」と聞くときの眼の動きがキュート。こういう細かい芝居する人に弱い私f^^;。
二人への愛に悩んで涙を流す姿はとっても可愛いけど、ある意味怖いかもしれない(大汗)。でもこういう純粋な表現を画面に残して美しいと感じるのは、今となっては同性愛だけかもしれない。あー、シルヴァン・ジャックが羨ましいわ(^-^;;。
そしてヴァンサン・ペレーズのおみ足の美しさにウットリ。入浴シーンにもウットリf^^;。でも私のツボは指パッチンだったりする(爆)。『ボーン・アイデンティティ』のクリス・クーパーを越えたかもしれんf^^;。シャルル・ベルリングは自分を縛り付けて、がんじがらめになってしまったようなジャン・マリを上手く演じてる。ヘタに演ると超ヤな男に見えてしまいそう。「エムリックの血は自分までだ」という台詞が切ない…。この映画を観たのはギョーム・カネが出ていると小耳に挟んだからなのですが、確かに出ていました。３分程…。しかも殆どストーリーに関係ない役だと思うのですが(涙)。可愛かったからいいけど♪
おそらく好きな人はとっても好き、ダメな人にはとことんダメな映画なのでしょう。前者の私は細かい所でお気に入りの場面が沢山あったりします。
ブリュノとフランソワが二人で車に乗っている場面。途中の駅で別れたルイに似ている人が目に入るたびに、振り返って目で追うブリュノにフランソワが「そんなに好きなのか？」と言うところがキュートでお気に入りf^^;。パスカル・グレゴリー、クールなのに何で可愛いかなあ。いや、私はハゲ専ではないのですが……。しかし何故この映画のDVDは出ていないのだろうか。まさしくDVD向きだと思うのだけど。ヴァンサン・ペレーズの指パッチンを何回も観たりとか＞おひ(^-^;;。
◆愛は波の彼方に（香港）◆
豪華客船でカリブまで旅するお金持ちアンディと、破産しちゃった元資産家令嬢の石田ひかりの恋物語。船上でのビシっとしたスーツ姿も格好良いアンディと、カリブの街をバックパック一つでウロウロするアンディのギャップが楽しい。でもカリブで一人で頑張る青年を演じるにはアンディはもう無理がある気がする。これがシンチーみたいに軽妙に演じる人だったら別かもしれないけど。
でもアンディはスクリーンに栄えますな、今更だけど(笑)。豪華客船に負けない雰囲気持ってるもの。脇に回ったアンソニー・ウォンの軽妙な演技ってのも久々に観たけど、どんな役もそれなりにこなしますね、流石に。未公開の『野獣刑警』観たいぞ！
◆アイランド（アメリカ）◆
不死身すぎ＞ユアン(^^;;。やはりフォースのお陰か(^^;?。あんな高い所から落ちたら嘘でもいいからかすり傷くらいあってもいーじゃんか(涙)。ストーリーは突っ込みどころ満載というか、突っ込むのも虚しいというか…(^^;;
。しかしアクション場面に力入りすぎだわ。このキャストならもっと何とか出来た筈なのに…とは言いつつ、もの凄いドラマを期待していたわけではないので、ふつーに何も考えずユアンとショーンを楽しむことに専念しました。
ショーンはデスクワークな博士。メガネの奥でキラリと光る眼が素敵。でもナニゲにメガネは似合わないかも(汗)。何だかとっても地味な人になってしまうわ(涙)。ユアンは全編とっても可愛い♪特に“元”が適度に邪悪な味付けで楽しそうに演じてるのがいい。しかしユアンは色々とバランス良く映画に出ている気もするけれど、ショーンは大丈夫か(大汗)。『フライト・プラン』の素敵パイロットに期待だ！私の心はサースガードに行ってしまうかもしれんが(^^;;
。
◆アイリス（イギリス）◆
非常に丁寧な映画。痴呆になっていくアイリスを捕らえながら、どこかゆったりした雰囲気を感じる。アイリスとその夫にスポットを当てたこの映画、現在の時間軸に過去の描写を入れていきながら、そのどちらも十分に描いている。奔放で自由な若いアイリスが、年を取って痴呆症になり自分の中だけに生きていくことになったのは、旦那にとっては常に彼女自身の中にしかいないアイリスを見ていたことになるのかも。ジュディ・デンチさん、ケイト、ブロードベントさんの上手さは勿論、脇役に到るまで安心して見られる映画。
◆赤毛のアン アンの結婚（カナダ）◆
ミーガン・フォローズ、歳取ったなー(^^;;。でも２作目から１０年も経ってるんだから当たり前か。ってゆーか、１０年も経ってたのね。そりゃ歳取るはずだわ、、、お互いf^^;。今回のアンはオリジナルのストーリー。原作では第一次世界大戦に行くのはアンとギルの息子達だけど、ここではギルが戦場に行く。まさかそんなことはないと思ったけど、次男（でしたっけ？）みたいに帰ってこないんじゃないだろうなあ、と少しドキドキしてしまいましたわf^^;。そりは許されない。じゃないと子供生まれないし(^^;;。
オリジナルのストーリーは少し強引で力技なところもあるけれど、最後まで頑張って引っ張ってる、、、と思う(^^;;。でもアンは凄くアンらしい(^^)。ギルもとってもギルらしい(^^)。これだけで満足。しかし近くに座っていた人が、泣かせの場面で全て見事に号泣していた(^^;;。
◆アクシデンタル・スパイ（香港）◆
ハリウッド映画では色々と規制があったりして、100％満足出来る映画作りが出来ていないらしいジャッキーが、好きな事を思う存分やるために作った香港映画。香港、韓国、トルコとロケーションした楽しい映画です。予告編でも見せまくってるタンクローリーを橋から落とすアクションは流石に迫力満点。でもジャッキー映画の魅力は狭いところとか、小さな空間で見せる楽しい小技アクションのような気がする。大きなアクションよりもこっちの方がすっごく楽しいもの。今回はトルコの浴場から市場にかけてのアクションが、楽しくて可笑しくて見ててワクワクする作り。
ストーリーは少々大味だし、キャラクターの説得力もなかったりするけれど、ジャッキーのアクションを沢山楽しめる作品になっているかと。でも次回香港で映画を撮るときは、外に行かずに全編香港で撮って欲しいな。
◆アザーズ（アメリカ、スペイン）◆
心地よい緊張感のある２時間。
第二次世界大戦後すぐ、帰ってこない夫（クリストファー・エクルストンさん(*^^*)）を待つ妻ニコール。ニコールはクラシックなスタイルがとても似合っているし、その立ち姿は柔らかさと堅さを合わせ持つ素晴らしい美しさ。そしてとても大きなお屋敷に、ひろーい、ひろーい庭。勿論、隣の家なんて見えない。霧のかかる薄暗い空気も相まって、ゴシックホラーという言葉がピッタリとこの映画に吸い付く背景です。
恐怖の対象となる"もの"を出さずに、音楽、効果音、神経の張りつめた俳優陣の演技で物語を引っ張っていくアメナーバル監督の演出力はやっぱり凄い。そして細かい設定から綿密に織り上げられた脚本も見事。私にとって、とても相性の合う監督なのです。どの映画も謎な部分、よく分からない部分がいつまでも残っているのですが、その残っていることがイヤじゃない。今回は謎は残らなかったけど。
ハリウッド映画なので、前２作と違いきっと制約も色々あっただろうけれど、ここまで緊迫感ある映像を持続させるのは流石に上手い。そう来たか！なラストの後に、ちょっと説明しちゃうところが残念だけれど、ま、それは仕方ないか。でもここをカットすればもっと緊張感のある余韻が残ったかも。事前に知ってしまうと面白くないと思うので、ネタばれされないように注意して観に行くことをお勧めします。
◆アドルフの画像（アメリカ）◆
画家を目指していたヒトラーの若かりし頃と歴史の転換期を描いたとても見応えのある映画。題材は面白いし役者も良い。退廃的なヨーロッパの雰囲気もとても良く出てる。でも何かが足りない…。ヒトラーの描き方が勿体無かったかな。“その後の”ヒトラーに縛られすぎてるのかもしれない。又は歴史の“if”に縛られ過ぎたのかも。史実がどうだかは分からないけれど、この頃のヒトラーがユダヤ人に対して特別周りと違った感情を持っていたのではなく、ただ冷静だった（冷静すぎた）というのは面白い表現でした。それをヒトラーの演説で大衆を過激な方向に目覚めさせたと言うのも上手い。
ヒトラーを演じるノア・テイラーは、コンプレックスと時々見せる狂気を上手く表現してる。決してハデではないけれど、こういう腹に溜まった鬱屈とした想いを出すのが上手いわ。ただ演説のシーンが惜しかったかな。それが演出の意図なのかは分かりませんが、実際のヒトラーの演説でのある種のオーラが少なかった気がするのです。薄味に見えてしまった。ジョン・キューザックの画商はスッキリ格好良く好演。とらえ所のない人物を演じさせると、この人は本当に上手いと思う。
しかし英語のヒトラーというのも何となくスッキリしないのでした。しかも演説で「外国語を喋って母国語を上手く喋れない者が云々…」と言うのが出てきて、思わずうーんと唸ってしまった。
◆アナとオットー（スペイン）◆
血の繋がらない兄妹の恋物語。それぞれの視点から２人の身に起こったことを語っていくという形式。出来事は同じなんだけど、両方の心情が描かれるんで面白いです。作りも丁寧。丁寧すぎて、そつがなさすぎて、こじんまりした印象は拭えないけれど、こういうの好きです。ラストのちょっとした曖昧感も…。
オットー役のフェレ・マルチネスくん。やっぱキュートだわあ(^^)。『テシス』のおたくキュート少年には負けるけど(^^;;
、熱くって、生き生きしてて可愛いオットーでした。
◆アニバーサリーの夜に（アメリカ）◆
カミング(^^)、カミング(^_^)、カミング(*^^*)〜〜〜〜(^^;;
。すっごいキュートなカミング満載。でもこういう普通っぽい役(笑)は久しぶりなのでは？物足りないと言えば物足りないけど、新鮮と言えば新鮮だ(^_^;;。でもそこは監督カミング。大学時代の親友（男です…勿論f^^;）をカミング夫妻の結婚６周年のパーティに呼んで、とってもしんみり＆意味深な祝辞をさせちゃうという素敵な場面を用意してくれてます。ここの脚本書いたのは絶対カミングだと確信(^^;;
。
映画は俳優達のアンサンブル演技を楽しめるようになってますが、空間が限定されているので少し退屈かなあという気がしないでもない。もう少し何かインパクトのある出来事なんかを入れた方がメリハリ付いたかも。ま、私はカミングとジョン・C・ライリーをメインで観てたので全然飽きなかったけど(^^;;
。しかしライリー、また横に大きくなってる(涙)。『ハードエイト』の頃が懐かしいわ(遠い目)。
それとエンディングの歌ってライリーが歌ってたのかしら。声が凄く似てたけれど。エンドクレジットを追ったけど分からなかった…。でもケヴィン・クラインが歌ってる曲が使われてたみたいだから、あれってケヴィン・クライン？
◆アバウト・ア・ボーイ（イギリス）◆
父の印税で働かなくても生活できる男。毎日をダラダラと何をするわけでもなく生きている、でもそれである程度満足している男。そんな男を演じさせたら世界一だ＞ヒュー。余りにも似合いすぎて怖いくらいだぞf^^;。そんなヒュー演じるウィルが世の中を冷めた見てる孤独な男の子マーカスに出会って何かが変わっていく。この変化をジタバタしながらもちゃんと受け止めて、そして変わることへの不安から自分を解放していけるのが、このヒューが魅力的に見えるポイントかも。
健気なマーカスが凄く良い。小憎らしいガキなんだけどf^^;、何だかほっとけない子なのよね。レイチェルはひたすら可愛く、そしてトニは上手い。こういう役をちゃんと演じられるって凄い。そーいえば、本人、歌がむちゃくちゃ上手いのに、あんなヘタっぴに歌うのって難しくないんだろうか。
◆アビエイター（アメリカ）◆
長いよ＞レオ(^^;; 。もうちょっと編集してコンパクトにしてくれれば良かったのに。そしてドラマチックな話しなのに何故か単調に観えてしまったのが我ながら不思議な気がしますが、何でなんだろ。しかし金を持ってるオタクってのは凄いというか、怖いというかf^^;。自分の好きなことにあれ程までに突き進めるってのは羨ましいが。レオは頑張ってましたが、やっぱり童顔ってのはどうしようもなくネックになってる気がする。ケイトと並ぶと弟にしか見えない。実際このカップルはどうだったんだろうか。
◆アメリ（フランス）◆
可愛いっす〜〜(^^)。なーんであんなに赤が可愛く似合うのかしら(^_^)。アメリも可愛いけど、私のツボはやっぱりマチュー(^^;;。水色の紙袋が似合いすぎよ(^^;;。あなたはやっぱり撮る人じゃなくて演る人だ(爆)。早く気づいてくれ＞おひ^^;。
とっても変わった女の子アメリ。でもマイナスにではない変わった子なので観ていてとっても可愛く見えてしまう。人形のエピソードがお気に入り。普通、思いついても実行しないぞ。ヤバイこととか、お節介っぽいことをどんどんやっちゃうアメリだけど、観てて嫌な思いをさせないユーモアが色んなところに散りばめられてて、上手い作りだなあと思ってしまう。
マチューとのエピソードも可愛さ満点だけど、最初ボケボケに見えたマチューが段々格好良く見えてきちゃうのは間違ってるだろうか…多分間違ってる(^^;;。しかし凄いところで働いてるわね＞マチュー(^^;;。
◆アモーレス・ペロス（メキシコ）◆
腹にグッと力を入れて観なければ吹っ飛ばされてしまいそうな、何とも力強い作品。交通事故という一点から拡散する３話に分かれたオムニバス型式の作品。３話がハッキリ分かれているような、リンクしているような不思議な感じがするストーリー（特に１話目と３話目）。犬という一つの媒介があるというだけでそう感じてしまうのだろうか。３話中時間を割くのも、一つ屋根の下に住む一家の弟が兄嫁に横恋慕してしまい、闘犬で一財産作って一緒に逃げようと約束することから始まる１話目と、若い頃ゲリラ活動をしていた男のその後の姿を描く３話目。２話目は他の２話に比べると少し柔らかい感じはするけれど（犬も小さな白い犬で可愛い）、描き方はとてもクール。
３話に通じるのは愛情の難しさ。そこには善悪のスッキリした色分けは存在しないし、誰もが善でもあり悪でもあるかもしれないという現実がある。観ているととても圧迫感があって苦しくなるのだけれど、観終わって不思議とどっぷり暗くはならなかった。それは、ここに登場する人々が、何か大変なことがあっても、過酷な運命が待っていても、そこを結末にはせず歩みを止めなかったからかもしれない。ここには人の可能性を信じる心がある気がする。また次回作が楽しみな監督に出会えた。
◆アレキサンダー（アメリカ）◆
散々な評判しか聞いていなかったので覚悟して見に行ったのがよかったのか、それ程のダメージはありませんでした(泣笑)。しかし良い場面も沢山あったのに、映画として１本にしてしまうと？？？になってしまうという激しく勿体ない作品。無駄なシーンも多かったけど…アンソニー・ホプキンスの役はいらないのでは。時間軸をいじったのも無駄だった気がします。
役者は良かったです。コリン・ファレルはやはり存在感ありますな。ジャレット・レトとのらぶらぶシーン(笑)より、ジョリジョリとの妖しいシーンの方がドキドキ感があったのは流石(？)。瞳ウルウルなジャレットと、あんまりまともに視線合わせてなかったように見えたのは気のせいだろうか(^^;;
。アンジェリーナ・ジョリーとヴァル・キルマー夫妻は迫力でした。ヴァル、久々にキレキレな演技を見せてます。
◆アレックス・ライダー（アメリカ･イギリス）◆
アンソニー・ホロヴィッツの少年スパイ小説『ストームブレイカー』の映画化。去年(2006年)の夏、香港で観た映画が１年以上経ってようやく日本公開。いままで香港で観た洋画の中では、一番内容がよく分かった作品でした(^^;;
。でも子供も大人も楽しめる少年スパイアクション映画としてよく出来た作品です。原作者が映画の脚本も担当しているので、原作の味を残しつつ１時間半の映画としてまとまっているのが嬉しい。原作ではアレックスが訓練を受ける場面が細かく描かれていてラストへの伏線もあったりして好きなシーンだったのですが、
映画ではサラッと処理。でも全体のバランスを考えるとこのくらいでいいのかな。
香港で観たときにドニー・イェンが武術シーン振り付けでクレジットされててビックリだったのですが（ユアン他シブ系えげれすオヤジが出てるってことくらいしか知らなかったf^^;）、どこを振り付けたかすぐ分かるところが流石にドニー。特に前半の自動車解体工場でのアクションが凄く楽しい！車の窓をすり抜けるアクションなんかはとっても香港映画っぽいし、アレックスが綱を使って敵を倒すところも凄く格好良い。アレックス役のアレックス・ペティファーくんのアクションも上手いし、洋画の中に香港アクションがスパイスとして違和感なくハマッたという印象。イギリス版DVD（買ってしまいました…(汗)）にはドニー師匠のアクション
振り付けメイキングが入っていてこちらも面白かったです。スタントとかスタッフが中国系の人たちで、そこだけ香港映画のメイキングのようだったわ(^^;;
。
この映画のキモであるアレックスを演じるアレックス・ペティファーくんは、TVの長編ドラマに１本主演しただけで映画はこれが初出演。でも初出演とは思えないくらい堂々とした演技。スポーツ好きで運動神経がいいようなので、ドニー師匠のアクションも見事にこなしてる。立ち姿も美しく、何をしても絵になってとっても魅力的♪1990年生まれで撮影当時は15歳ですが、そうは思えないほど大人びた表情を見せる。かと思うとやんちゃで可愛い表情もあったりして、原作の頭も身体もキレるブロンドスパイ少年アレックスにピッタリ。『エラゴン』を蹴って次回作に『ラブ・アクチュアリー』で編集を担当したニック・ムーア監督作を選ぶ辺り、なかなか渋い作品選択。でも華やかな容姿をハリウッドが見逃すはずもなく、『ハムナプトラ３』にキャスティングされているようです。当初ブレンダンの息子役かと言われていましたが、20代半ばのルーク・フォードが決まっているので（ってことは、ブレンダンは何歳の設定なんだろうか…(怖)）、その若い頃ではないかと言われてます。。。が、実際はどうなんだろうか。現時点（2007.11.13）では情報が錯綜してますが…。しかしそうなるとまたしても役名はアレックス…(笑)。そしてハム３にはジョン・ハナさんも出るとか！
◆アンナと王様（アメリカ）◆
チョウ・ユンファのハリウッド進出３作目の作品。作品毎に香港時代の輝けるユンファが見えてくるのは何とも嬉しいところ(^^)。『リプレスメント・キラー』を観たときには、このままアクション一辺倒でいくのかしらん、、、と少々心配しちゃったのですが、３作目でドラマを選んでくるあたり流石ユンファです(^_^)
。とは言え、映画全体としては、イマイチ迫力もドラマ性も中途半端だったかも(･_･;)。
ジョディのアンナが魅力に乏しかったというのも、意外だけど残念だったです。王様と対する場面でもユンファの存在感に消されてしまったという感じ。これは、すんばらしいユンファに目を輝かせて観ていたのが原因なのかしらん(^^;;
。う〜む、冷静に映画を観てなかったのは確かかもしれませんが、、、。
それでもユンファふぁんには大変美味しい映画ではありました(^^)。あの笑顔は豪華なセットも衣装も包み込みますな(*^^*)。永遠支持ｲ尓！發仔！
◆頭文字D（香港）◆
ぎゃあ〜〜、ジェイ可愛い〜〜〜。あまりにぎこちない泣きっぷりも、表情のなさっぷりも、よく分からないそのニヘラーっとした笑いっぷりも全部許す＞おひ。しかし演技は普通に下手でした(笑)。全編に渡って流されるジェイの曲をバックにプロモーションビデオかと思ったわ(^^;;
。ポーカーフェイスで運転してるところが一番いつものジェイっぽかったかな。しかしヘタなのか上手いのか良く分からないと言われてたのが分かる演技っぷりですな。地なのか演技なのか判別つきにくいわ。
脇もいいです。今回、凄く良いなあと思ったのがエディソン・チェン。キャラクターも良かったけれど、エジのクールさが凄く合ってたような気がします。何だかスマートささえ感じさせてくれて、大人になったなあとおねいさんはちょっと嬉しいf^^;。中里役のショーン・ユーは少し役不足だったのが残念。原作でもあまり大きな役じゃないみたいだし。チャップマン・トーは…いつも通りって感じf^^;。しかし樹ってホントにこんなキャラなのか？物凄く香港っぽいんですけど。出番は少ないけど存在感バリバリな小春。ダメダメ親父ﾞでもキラリと光るものを随所に散りばめて圧倒的な存在感を見せるアンソニー・ウォン。久々阿Bことケニー・ビーもお元気で何より。折角クラブに行ったんだから、歌ってくれれば良かったのに〜。ちょっと期待しちゃったじゃないか(涙)。
CGなしで撮影したというドリフトシーンはやっぱり迫力あります。５連続S字は凄いわ。ちょっと感動。しかしどのくらいのスピードで走ってるんだろう。スタントとは言え、ちょっと怖かった。
◆イルマーレ（韓国）◆
海辺の一軒家“イルマーレ”から市内のアパートに引っ越していくウンジュ。次に来る住人に自分の郵便物を送って貰うため、新しい住所を書いてポストに入れておく。。。時が経ち、この家に引っ越してきたソンヒョンは、ポストに入っている二年後の日付が書いてある不思議な手紙を見つける。この家は新築の筈なのに…。ひょんなことから２年の隔たりの中で手紙のやり取りをする二人。心に孤独を持つ二人の心が通じ合っていくのだが……。
美しいタイトルを持つこの映画、そのタイトル通りとても素敵な映画です。手紙を通して感じる暖かさや、切なさ、優しさが美しい。ピュアなこの映画のラストにグッと来てしまった自分に、まだまだ大丈夫ね、、、とちょっと思ったですf^^;。静かで、穏やかなラスト(^^)。
ソンヒョンを演じるイ・ジョンジェは、決してハンサムというわけではないけれど、暖かみを感じさせる素朴な青年を好演してます。何だか安心感を感じさせる人だ。せいくしぃ俳優って言われてるのが想像できん…。ウンジュ役のチョン・ジヒョンも美人というより可愛い女優さん。角度によっては確かに香港のスー・チーに似てる。スー・チーを柔らかくした感じかな。
映画全編に漂うのはヨーロッパの香り。サラッとした、湿気を感じさせない映画です。
◆インソムニア（アメリカ）◆
つまらなくはないけれど、ふつーの映画でちょっと拍子抜け。でもここでまたすんごい変わった映画を撮って失敗するよりは良かったかも？＞クリストファー・ノーラン。物語は破綻しないし、アラスカの荒涼とした風景と、ちょっと色味を抑えた画面がいい雰囲気でした。「分かっていること」を踏まえて物語を最後まで引っ張らないといけないので、そこは難しい映画ですね。
アルは疲れ切った刑事を好演してたと思う。切れ者（何だよね？一応）というのがちょっと分かりにくいけれど、どちらに転ぶか分からない汚れた刑事を上手く演じてた。対するロビン・ウィリアムズ。うーん、ちょっと難しかったかなあ。優しい外面を持ちながら、心にどこか凶器を持ってるふつーの人って雰囲気をもう少し出して欲しかった。ちょっと押さえすぎかも。でも久しぶりにスクリーンで観られたのは嬉しい。今度はもっとハジけた役を期待。ヒラリー・スワンクはちょっと役不足ですね。勿体ない。もっと物語に絡んでくる役だと面白かったのに。
◆インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国（アメリカ）◆
香港でのタイトルは『奪寶奇兵之水晶{骨古}髏國』
19年ぶりのインディ。そうか、19年も経ってるのか…（遠い目）。ハリソンさんの立ち姿を観ていると、確かに19年経ってるんだなあと時の流れを感じずにはいられませんでしたが、それでもまた新しいインディが観られた〜という喜びのほうが大きかったかも。登場シーンは予告で何度も流れているので、感動できなかったのは残念でしたが。。。
ハリソンさんはインディを楽しく演じていて、昔と変わらずユーモアに溢れたチャーミングな役作り♪教授姿も相変わらずステキでした。以前のように講義中に女子学生の眼がハート(#^^#)ってのはありませんでしたが、私の目はハート*^_^*)でした(爆)。小ネタも色々とあって、前３作を観ていなくても楽しめるけれど、観ている人には更に楽しいネタがチラホラありました。アクションもどこまでがスタントなのかは分からないけれど、かなり頑張っていたかと。シャイアのバイクの後ろに乗っている姿は、やや腰が引けてた気もしますがf^^;。
そのシャイア・ラブーフはハリソンさんに負けず劣らずの活躍っぷり。コメディ部分の大半を持っていくし色々な感情表情を見せてくれるので、役としてオイシイです。しかも普通の男の子なのに、何をやってもとってもキュート♪『トランスフォーマー』の時も思ったけれど、平凡な男の子がちょっとした冒険をするって役がとても似合うし、どこにでも居そうなのに、どこにも居ないような存在感がある。アクションも沢山あって（ヘタレなのもビックリなのも満載f^^;）、バイク姿も様になってました。クレジットにandで出てきたときは、ちょっと驚いた。
ケイトはこういう作品の時にみせる独特の過剰な演技が、相変わらず楽しい。こういうやり過ぎ演技をちゃんと計算して演じていると思わせるケイトって流石だわ。ブロードベントさんは登場シーンは少ないながらもホンワカとした雰囲気が印象的で、もっとインディとの場面を観たかったなあと思わせます。ウィンストンさんはもっと濃ゆく演じているのかと思っていましたが、意外とサラッと淡白だった気がします。でもスパイスになる役で面白かった。
映画は２時間強で若干長いかなあという気もしますが、冒険ものとしてワクワクさせてくれるし、スピード感もあるし、ラストは考古学とは違う方向に進んでいくので、ちょ〜っとビックラしましたが(^_^;
、豪華で楽しいアドベンチャー映画でした。
◆インファナル・アフェア（香港）◆
香港で2002年クリスマスシーズンに公開され大ヒットを記録し、翌年の金像奨（香港アカデミー賞）で７部門を制した作品。原題は『無間道』。
無駄のない脚本、感情移入を押さえた演出、美しい映像、個々が立ったキャラクター、そして演じる個性溢れる俳優達。。。至福。気がついたら映画が終わってたわ(^^;;
。うー、香港で観たかった〜。ジョニー・トーの『ザ・ミッション』を観たときの興奮が蘇ってきました。あの時はン・ジャンユーさんという、まい・らぶり〜な俳優が出ていたので興奮にも拍車がかかったけれど、この『無間道』は思い入れタップリな俳優が出ていなかったので冷静に観ていた筈なのに、思いっきり作品世界に浸りきってる自分がいました。
物語の光と陰を引き立たせる映像が印象的。特に屋外を撮ったシーンがとても美しいです。自然光を使った淡い影のあるショット、ショーウィンドウの明かりと夜の闇。九龍島を見渡せる開放感のあるビルの屋上を描きながらも青い空は物哀しく、逆に地に迫ってくるように見える閉塞感。アンドリュー・ラウの映像は、カメラを動かしていても忙しない感じがなくてとても好きです。警察と黒社会を描いた香港映画なのに銃撃戦は１度しかなく、しかも魅せる銃撃戦ではない。血も殆どない。でも銀鉛がかった映像に僅かに見せるその赤が鮮烈な印象を与えます。淋しげな色をした美しいブルーよりも、この赤がとても印象に残りました。
『ロンゲストナイト（原題：暗花）』の雰囲気を思い出させるトニー・レオンは、あやふやな深みに落ちそうな自分を何とかコントロールしようとする捜査官の内包した心理状態を見事に表現してみせます。観客が感情移入しやすい役柄ではあるけれど、それを嫌味なくここまで丁寧に見せられると、知らず知らずのうちにトニーに肩入れしながら観ている自分が居たりする。観客の多くが椅子から飛び上がりそうになったシーン（ネタばれになるので曖昧だけど、観た人なら分かると思う）の表情と表現力は、驚きと自制の心を巧みに見せて本当に素晴らしい。
相対するアンディ・ラウはとても難しい役を貰ったと思う。黒社会の人間でありながら警察の幹部に上り詰め、その地位が黒社会より居心地が良くなりつつある男。アンディはストイックに、ソリッドにこの役を表現しています。『デッド・エンド（原題：暗戦）』のアンディを思い出させるけれど、それより一段上がった演技を見せていて、元ふぁん(笑)としては、とても嬉しい驚き。自分の道を自ら選んだ決意が現れた時の表情の何と格好良いこと！！
とてもシンプルな脚本。題材に目新しさはあまりないのに見事に練られた脚本がとても新鮮に見えるのは、黒社会の人間が警察に潜入するという点を入れたことなのかも。思いつきそうで思いつかなかった設定。しかも潜入捜査官同様、黒社会の彼の内面もとてもデリケートで微妙なのだというのを描いたことで物語に厚みが出来ている。そして２人が最後どうなるのかという謎解きとしての面白さよりも、全ての登場人物にタイトルの“無間道（＝絶え間なく続く苦しみ）”という言葉を染み込ませた人間ドラマの深さがこの脚本の素晴らしさだと思う。
そして演じる俳優達の適材適所の見事さ。眼をサングラスで隠していても、その表情が見えるような凄みのある素晴らしい芝居を見せた警視役のアンソニー・ウォン。明るい顔の下にキレのある表情を見せるマフィアのボス役エリック・ツァン。トニーとアンディの若い頃を演じるショーン・ユーとエディソン・チャンの若々しさと不安げな表情。トニーの弟分を演じるチャップマン・トーのとらえ所のない役の掴みかたの上手さ。
簡単に答えの出せない部分が幾つかあるのもこの脚本の面白さ。その混沌とした物語のラストは限りなく重たい灰色。このラストをどう見るかは人によって違うでしょう。こういう灰色な部分をリメイクでハリウッドがどう描くのか。白黒で決着つけちゃうのは余りにも勿体無い。それにしても、どちらの役をやるにしてもブラピで大丈夫なのだろうか(汗)。
◆インファナル・アフェア／無間序曲（香港）◆
えいやっ！とばかりに脚本を作って撮影したという粗さが分かる映画だけれど、でも良い作品には違いない。話しはそれ程込み入った感じはないのに、登場人物が交通渋滞状態に込み入ってるのでf^^;、悩みながら見ていると置いて行かれてしまうかもしれない。
香港映画ではよくあることなのですが(笑)。でも主要キャラはとても魅力的。
誰が主役かと言うと難しいけれど、第一部にも出ていたアンソニー・ウォンとエリック・ツァンは、まだ少々青い若者の雰囲気もみせて余裕の演技。トニーの若い頃を演じたショーン・ユーが良い。「善人でいたい」というセリフの重みがショーンの表情から分かる。ラスト近くの何かを吹っ切ったような、少し大人になったような表情も印象的です。アンディの若い頃を演じたエディソンは押さえた演技で頑張りますが、複雑な表現力が今一歩かな。眼で演技しようとしてる気もするけれど、もう少し表情が必要かも。クール過ぎるのかもしれない。カリーナ・ラウは久しぶりに観た気がする。こういう役はお手の物という感じ。
そしてフラ！素敵すぎ。事務的な表情で感情を出さずにガンガン人を罠にかけたり始末していってしまう姿は、クール過ぎる程クールなのに存在感ありまくり！こういう攻撃的な役はやっぱり上手いなー。昔のようにキレた演技ではないけれど、時々フッと見せる冷たい眼がまた素敵〜(笑)。終盤、立場の変化と共に表情が変わっていく所も上手い。久々にこういう落ち方の役を観たわ。やっぱりこういうフラは良いわ（うっとり）。そしてラストの演技も鮮やか。
◆インランド・エンパイア（アメリカ）◆
３年ぶりのリンチ。そして微妙に敗北（私が）。相変わらず何だかよく分からなかった。つーか、分かる人いるのか？リンチ以外で。いや、リンチも良く分かってないかも＞おひ。虚構と現実の境が曖昧で、なおかつ現実を否定しているような力業な映画。これがリンチワールドなのか、、、と分かるほど作品を観てないので（なんせ『ツイン・ピークス』で騙されたクチなんでf^^;）、『ロストハイウェイ』で完敗した時ほどの脱力感はなかったです(笑)。しかしラストのオチが３つくらいあった気がして、エンドクレジットの間も目をパチクリさせてしまいましたよ(涙)。でもリンチの映画って、内容はサッパリ分からないのに眠くならないし、結末もよく分からなくて観終わってドップリ疲れるけど、不思議と“つまらなかった”とは思えない感覚が残るのは何故なのだろうか。こうやってリンチにはまって行くのか……いや〜ん(涙)。
◆ヴァン・ヘルシング（アメリカ）◆
内容より俳優で楽しみました(^^;; 。話しは直ぐに忘れそうだわ(^-^;;。意外にもオードリーことデヴィッド・ウェナムが大活躍（？）で嬉しかった〜。ファラミア＠LotRやルーク＠ダストを演じた人だとはとても思えないボケボケぶりが可愛い(^^;;
。ルーク仕様のオードリーならヴァン・ヘルシングやっても違和感ないもんなあ。でもこういうボケ役の方が楽しそうにやってる気がします(^_^;;。ウィルは……次回作に期待だf^^;。いや、格好良かったんですけどねえ。登場シーンの木に縛り付けられてる所なんて、私がそのまま持ち帰りたかったわ＞おひf^^;。面白い役なので、もっと活躍する場面を作って欲しかった(涙)。
ヒューはスターの風格ですな。どの場面でも立ち姿が美しいし、アクションも見事。でもこの映画はドラキュラ伯爵を演じたロクシーことリチャード・ロクスバーグのものでしょう〜＼(^^)／。最初の花嫁が死んだことを知った場面での大仰な演技と台詞回しに思わず吹き出しそうになり、掴みはオッケーでした(^-^;;。ロクシーが敵役としては地味という評がどこかにありましたが、どこが地味なんだーーーー。めちゃめちゃ濃ゆかったと思うのですが。私がロクシーを中心に観ていたからいけなかったのかしらf^^;。しかしサム・ウエスト、あんな出番少なかったとは(泣)。
◆ヴィドック（フランス）◆
内容はともかく(笑)、映像は楽しいかも。全編デジタルで撮影されてる映画ですが、そこにＣＧを重ねたりして観てて面白いです。ゴシック調のゴツゴツとした暗めのバックにいびつな人物。しかも顔のパーツがいちいちアップになったりして凄い(笑)。歯とか鼻の穴とか(^^;;。見せたからってどうなのって気もするけど(^^;;。
鏡の顔を持つ人物とヴィドックの戦いは、迫力あるのかないのかよく分からんところがいい、、、かもしれない(笑)。鏡の人は重力感じさせない動きをしますが、ヴィドックは重力ありまくり。ちょっと重すぎるかもしれない＞ドパルデュー…。謎解きはあんまりパッとしないけれど、狂言回しのエチエンヌを演じたギョーム・カネが可愛かったからいいのだ＞おひ(^^;;。オフィシャルホームページを見つけたけど、なかなかお洒落です。
◆ウェルカム！ヘヴン（スペイン）◆
何てハジけた映画(^^;;。天国がフランス語、地獄が英語、地上がスペイン語ってのがまた凄い(笑)。しかしこの映画。メインストーリーよりも、描かれないサイドストーリーがすっごく気になる。地上に降り立ったビクトリア・アブリルの前世とか、ペネロペの過去（これはちょっと描かれるけどf^^;）。それよりもっと気になるのが地獄の作戦本部長（って役職も何をするのかイマイチ分からんf^^;）のガエルくんと、天国のファニー・アルダンとの間に何があったんだっ！すっごい気になる。36年（でしたっけ）に一体何があったんだーーー！しかもガエルくんの役名がジャック・ダヴェンポートって、、、。何か意味があるのかと思って必死に画面追ってしまった、、、結局分からなかったけど（虚しい…）。監督のただの遊びなのかしら。無意識だったら泣けるf^^;。
あとストーリーに関係ない小ネタが途中にあって、その前振りが後のお楽しみになるのかなーと最後楽しみにしてたのですが、思いっきり放置されてた(泣)。ベタな映画なら絶対やってくれるネタなんだけどな〜。香港映画の監督なら逃さないと思うんだけどf^^;。王晶（バリー・ウォン）なら確実だ(爆)。
◆渦（カナダ）◆
シンプルな話しなのだけれど、語り方が独特でとても不思議な後味の残る作品です。映画の冒頭からこれがちょっと変わった雰囲気のある映画だというのが感じられる。というか、ツカミはかなりオッケーって感じ(^^)。怪しげな建物の中で、今まさに調理（？）されようとする魚（グロイ、、、だから多分美味いね(^^;;
）が語り始めるところから、この物語は始まります。グロい魚が淡々と話し始める物語。。。
主人公は自分の生活や内面が立ち行かなくなった、青い瞳がとっても魅力的な25歳の女の子。一つの事件をきっかけに、更に彼女の周りが騒がしくなっていく。彼女を中心に物語は回っていくのですが、映像の遊びがあったりして、目新しい手法ではないけれど、それが嫌味じゃなく映画の中で凄く自然に使われています。テンポが良くて飽きるところがないし。周囲に配した脇役等のバランスも凄くとれてると思いました。
この映画がより魅力的に見えたのは、映像の力によるものがとても大きいかったから。光と影、モノトーンとブルーの色使い、だからこそ強烈に見える赤。どの画面を切り取っても絵になる映像が凄く好き。それとアンバランスにみえる音楽の使い方が、観ているうちに妙にしっくりしてきて不思議な感じでした。地味な映画だけどお薦めです！
余談ですが、主人公の家の壁に貼ってあったポスターがすっごく気になってパンフレットを買ったのですが、インタビューでその事に触れていて（インタビュアーに感謝！）そこ読んでちょっとビックリ(^^;;
。あれまってな感じのビックリだけど(笑)。
◆宇宙戦争（アメリカ）◆
家族持ちでアンチヒーローなトムってのは、『コラテラル』の悪役以上に想像できなかったトムだ。しかもとにかく逃げる、ひたすら逃げる、根性で逃げるトム(^^;;。こういうトムも珍しい。でも逃げ切ってしまうのは流石にトム様(^^;;
。唯一、ポッドに捕まって危機一髪という時に、とっさの判断で相手をやっつけて脱出してしまうところも流石にトム様(^^;;
。でもそれ以外は本当に受け身なトムで新鮮でした。
とてもシンプルな宇宙人侵略もの。彼らの目的が何だか分からず、人間は戸惑って逃げ惑うだけ。しかし何百年（何万年？）も計画を練って機会をうかがっておきながら、あのヘタレな滅び方はどーなんだ＞宇宙人よ…。圧倒的な武力で侵略して破壊して、それでも最後は呆気なく倒れてしまう。これは宇宙規模ではなく地球規模でも言えるのかもしれない。しかし一番怖かったのはダコタ・ファニングだな…。
◆海辺の家（アメリカ）◆
「ヘイデン・クリステンセンはこっちの方が全然良い！」と聞いて観に行った映画。思っていた以上に落ち着きのある作品です。大仰に泣かせる演出が殆どない。逆に予告編の方が泣けたかも。惜しいのは主役の親子２人（ケビン・クラインとヘイデン）を丁寧に描いているのに、周りのキャラクターが少しおざなりになっていること。上手く使えばとても面白いキャラクターが多いのに、これはとても勿体無い。それ程多いとは思わないけれど、使いきれていないのをみるともう少し減らしても良かったかも。そして家を建てるというこの映画の中の大きな仕事が、あまりにも普通過ぎるのはちょっと物足りないかも知れません。映画的な“事件”が少しは欲しかった。そこまでリアル観にこだわったのかなとも思えますが。
この映画にある種の落ち着きを与えているのは、俳優陣の地に足の着いた演技によるところが大きいのだと思います。ケビン･クラインのちょっとした表情や仕草がとても上手いし、クリスティン・スコット・トーマスも的確な演技を見せます。ヘイデン・クリステンセンは、よくある反抗的な少年を繊細に丁寧に表現していて好感持てます。
◆浮気雲（台湾）◆
東京国際映画祭’05
朝から観るには刺激強すぎの映画でした。しかも冒頭から股間にスイカって、、、(汗)。こんなこと思い付くのはあなただけf^^;。流石、蔡明亮(笑)。しかもAVシーン満載で（リー・カンション(李康生)がAV男優役）、オーチャードの大スクリーンで観て良い映画なのでしょうか(大汗)。でも小さな空間で観ると、濃密すぎて凄いことになるかもf^^;。流石、蔡明亮(^^;;
。しかしいつにも増してセリフが無かったような…。特に小康、何か喋ってましたっけ(^^;;
。ミュージカルの場面は画面が凝っていて楽しかったです。古き良き時代のミュージカルって感じで衣装もポップでダンスも可愛い。月夜に歌う小康のイグアナが両性具有的でステキでした♪
しかし来年の夏、スイカをマトモに食べられるかしらん(涙)。
◆エトワール（フランス）◆
映画として観るには少し単調だったかな。舞台裏ものとしてはとても興味深い世界だし、それがパリ・オペラ座となると余計に裏側を覗いてみたくなる。けれどこの映画ではそこまで深くは入り込まず、割と表面をさらりと撫でて終わってしまう。少し主題がぼやけているのも気になります。もっと焦点を絞った方が面白かったのではと。
バレエ学校時代のことをダンサーによって違う見方をしていて、この辺りをもっと見せてくれるのかなと思っていたのに、それ以上は踏み込んではくれなくて、題材としては面白いと思うのでちょっと勿体ないないなと思いました。それでもオペラ座は個人的に初めてナマでバレエを観たところなので、練習会場や舞台出演直前の姿が観られたりして楽しかった。
◆エボリューション（アメリカ）◆
爆笑できないSFコメディ…(^^;; 。「あは」ってな笑いまではいくんだけど、大笑いは出来なかった。。。やっぱ一番楽しかったのはドゥカブニーさんのモルダーセリフですなf^^;。一人で笑っちゃったけど、ちょっと寂しかったわ(T_T)。ドゥカブニーさんは、もっとコメディっぽい演技があるのかと思ってたのでちょっと拍子抜けだけど、でも楽しそうに演じてたからいい(^^;;
。可愛かったし(^_^)。久しぶりに『The X-files』を観たくなってしまった。３シーズンで止まってるんだけどf^^;。侵略してくるエイリアンが可愛かったり不気味だったり驚かされたりで、SFXは流石に楽しい。
◆エレクション（香港）◆
原題は『黒社會』。香港黒社會の組織「和聯勝」の２年に１度行われる会長選挙。立候補したのは金儲けは上手いが荒っぽい性格のディー／大Ｄ（レオン・カーファイ）と、一人息子を育てる温厚なロク／樂（サイモン・ヤム）。２人のどちらにつくのか……会長の象徴である“龍頭棍”の奪い合いも絡み合い、ディーとロクの争いと共に、様々な人々の思惑が絡み合う。
去年の11月に香港で観たときは、人物関係がイマイチ分からず画面とストーリーを追うのに精一杯でしたが、日本語字幕付きで観ると、、、やっぱり画面とストーリー追うのに必死でした(爆)。ジョニー・トー、恐るべし(違)。横に別スクリーン付けて人物相関図出して欲しかったわ、、、と映画終わった後、友人と話してました(^^;;
。ついでに、今、画面に出てる人には赤いマーク付きでf^^;。とにかく出てくる人が多くて顔と役名、加えて俳優名が頭の中でパニック状態(^^;;
。これはヘタに香港映画を観ている人より、思いっきり濃ゆい人か、あまり香港映画を観ない人の方が、すんなりストーリーに入っていけるのかもしれません。
それでも映画の出来はやはり一級品。画面の説得力と俳優の的確な配置、そしてそれに応える役者陣の演技。監督お得意のフッと抜ける遊び心もあって、１時間半じっくり楽しめる映画でした。俳優では派手な演技が出来る役のレオン・カーファイがやっぱり良い。ここまでキレキレで荒れた演技を見せながら、何とも言えないチャーミングな人物像に仕上げる役作りは流石。しかも無茶苦茶やってても、どことなく哀愁を感じさせるし、本人に品があるのか暑苦しさを感じさせない。香港で観ていたときは、隣に座ってた女の人が思いっきり「ちーしん…（「あほ」くらいの意味）」と言ってましたが(^^;;
。サイモン・ヤムはいい人風なボスをクールに演じて格好良い。最後まで本心を見せずに何を考えているのか分からない。それだけにラストの行動はビックリ。この映画が『黒社會』だということを改めて思い出させてくれる場面でした。
若手でクールな雰囲気を漂わせるジミーを演じるルイス・クー。こちらはパート２で大きくクローズアップされる役なので、ここでは出番はほどほど。でも伏線が沢山あってしっかり目で追っていたい役。ニック・チョンは登場シーンから目が怖い。しかも腹痛起こしそうですが(涙)。登場シーンは少ないながら、見せ場をキッチリ貰っていて魅力的。ルイス・クーと対峙するところは迫力あります。あまり表情が動かないし、寡黙だけれど、力強い眼が色んな事を語ってくれる。そう、ここに出て着うる男達は余り多くの表情を見せてくれない（キレてるアノ人を除いて(笑)）。でも眼が生きているからちゃんと表情がある。決して無表情ではないところが観ていて嬉しいです。そしてこういう演技に弱い私f^^;。この映画と『黒白道』を香港で観てしまい、ナニゲにニック・チョンのファンになってしまいそうな自分が怖い(^^;;
。
この作品は来年テアトル系で公開予定です。もう一回スクリーンで観たら人物関係分かるかしらんf^^;。
◆エレクション２（香港）◆
前作から２年。再び会長選がやってきた。再選に意欲的なロク／樂（サイモン・ヤム）だが、長老達は金儲けに長けたジミー（ルイス・クー）を推す。会長職に興味のなかったジミーは大陸での事業拡大を模索していた時、公安に会長になれば事業を認めると話しを持ちかけられる。立候補したジミーと権力に固執するロク。血で血を洗う抗争が始まる。
副題に“以和為貴”と付いた『黒社會』パート２。続編というより２本で１本の作品と言った方が正しい映画です。「和をもって貴しと為す」…この和はどこを指しているのだろうか。ロクとジミー、和聯勝、中国大陸と香港。
パート２はジミーに焦点を当てて、そしてキャラクターとしての起伏も多くあるので、物語も分かり易いです。しかしパート１と比べて激しい、、、凄惨な場面が(涙)。パート１は心理戦であり、まだ古い時代の面影を残した会長争いだったので、暗黙の了解的なところもあって痛そうな場面はあっても血が出てくる場面はそんなになかった気がします。武闘派だったのはニック・チョンだけだったし。でもこちらは結構エグい(涙)。眼を細めないと観られない場面がいくつかありました(号泣)。ジミー、怖すぎだよお(泣)。
金儲けをしたいだけで、黒社會に長くいるつもりはなかった温厚に見えたジミー。でも会長職を目指すと決めた時、なりふり構わず一点だけを見据えるジミーがいました。黒社會に長くいるということはこういうことなのか。。。会長職に就くためには手段を選ばず、血を大量に見る怖ろしいことも顔色変えずやってのける。対して、ロクが刺客として差し向けたフェイ（ニック・チョン）との対決は静かで緊迫感溢れるもの。お互い銃を見せず、牛刀も見せず、殴り合いもしないけれど、そこには互いの距離を計り合う二人がいる。この二人の距離感は最後まで面白い。ラストのニック・チョンも格好良かった。
『黒社會』はジョニー・トー監督が香港返還を念頭に置きながら描いたと、このパート２まで観るとよく分かる作品です。和聯勝という中で争ってきたロクとディー。ロクに勝利し会長というポストを手にしたジミーが次に相手にするのは中国大陸。その大きさを前にして慟哭するジミーの姿は、香港の人達の心の片隅にあるものを描いているのかもしれない。
◆オーシャンズ１１（アメリカ）◆
キャストが揃って「つまらない」と言うオリジナルを観てみたい気がする。で、このリメイク。つまらなくは無いけれど、面白くはなかった(^^;;
。犯罪ものとしてのスリルやワクワク感は殆ど無くて、とーってもスムーズに進んでいってしまう。とは言え、映像や音楽、会話は洒落ててソダーバーグ監督っぽさを随所に見せるところは流石。オスカー後にきらーくに撮った作品という印象。
クルーニーさんは『アウト・オブ・サイト』程ではないけどやっぱりセクシー(^^)。ブラット・ピットが良かったのがちょっとビックリ(^^;;
。肩に力が入って無くて、こういうサラッとしたチャーミングな役は似合う。アンディ・ガルシアはちょっと役が悪すぎたかも。キャラ薄々な悪役…(涙)。しかしジュリア・ロバーツ、、、あの歩き方は何とかならんか(･_･;
。アカ抜けてないことこの上ない。もっとスキッとした人をキャスティングした方が良かったんじゃないだろうか。
◆オーシャンズ１２（アメリカ）◆
見事に前作の記憶が抜け落ちている私…。そうか、こんな感想↑持ってたのね(^^;;
。うっすら内容を思い出してきたf^^;。
そして続編。豪華なキャストに、気が付けば大円団なラスト。見事に香港の旧正月映画のようであった…(^^;ゞ。そして私の中の主役は勿論ヴァンサン・カッセル！あの意味のない（いや、意味はあったんだけど…）ストレッチに爆笑しそうになりました。綺麗な英語にもホレボレだったけど、やっぱりおフランス語を話している時がステキ♪しかしソダーバーグって字が出るまで、監督が誰だったか忘れてたぜ(大汗)。
◆オープン・ユア・アイズ（スペイン）◆
久々に観た、ずーーーっぽりと映画世界に引き込まれた作品。後で冷静になって考えるとストーリー的にいまいちかも、、、と思わなくも無いけれど、映画を観ている間と終わった直後は完全にこの映画にハマりこんでました。映画見終わった後でコーヒーを飲んでいても、これってもしかして夢だったりして、、、なんて思っちゃった(^_^;。
この映画、作品のもつ独特の世界に身を委ねられなかったとしたら、辛い映画になってしまうかもしれない。映画が終わった後も「だから何だったんだあ〜」となる可能性大だもの。確かにスッキリとは終わらないし、結局何だったんだろう、、、とは思うのですが、そんなことは小さな事だ！と言わんばかりの力が作品全体を覆っているような気がします。
何と言ってもアイデアとプロットが素晴らしい！「お金持ちのハンサムな青年が、ある日事故で顔を酷く傷つけられてしまい、その後の人生が一変する。女の人に不自由したことのない彼が事故前に最後に愛した女性は彼をどう思うのか、、、そして彼は変わってしまった自分をどう受け止めるのか、、」
去年の東京国際映画祭で上映される時に、こんな感じの紹介文を読んですごーく心惹かれたのですが、何しろ他に観たいものがありすぎて手が回らず、結局は観られなかった。そしたらなんとこの作品がグランプリをとってしまったではありませんか！随分地味な作品にグランプリがいっちゃったなあと正直その時は思ったのですが、観て納得！確かに何か賞をあげたくなるような作品です。『ロック、ストック〜』と賞を分けた気持ちも分かる。
但し難がないわけじゃあない(^_^;。紹介文を読んだときに主人公の自分探しの話しかなあと思っていたので、観るまでミステリー＋ＳＦチックな作品だったとは夢にも思いませんでした。気持ちよく裏切られたという感じ。ただ主人公の心理描写がいまいちキッチリと描かれていないので、それが惜しいかなと。もっと苦悩する主人公（十分に苦悩はしているのですが、あまり説得力がなくて……）の心の内を見せてくれたら良かったのになあと思ってしまう。でも欲張りすぎかな、これは。
夢から覚めたらまたそれが夢だった、、、という入れ子形式になっているこの映画。どこまでが現実で、どこからが夢だったのか、最後までそれが分かり難い形で映画は終わります。結局全部夢だったと解釈できるし、映画で語っていた「ここからが夢」と言われればそうもとれる。あとは観た人の解釈に委ねるということなのかなあ。人生はそれ全てが夢、、、シェイクスピアかあ？
こんなにスッキリしないのに、何故か大満足してしまった私、、、監督の術中に見事にはまってしまったってことかな(^^)。
アメナーバル監督の前作『殺人論文（テシス〜次は私が殺される〜）』を観たけれど、確かにこちらの方が映画としては上かも。１本スジがぴしっと通ってるって気がする。監督の語りたいことがよく分かるし、２時間強、しっかり映画に釘付けでした。監督の次回作が楽しみだっ！でもホラー作品だって、、、(T_T)。しかもハリウッド作品、、、。何か不安(笑)。
そう言えば、この作品のリメイク権もトム・クルーズが買ったとか。だ、大丈夫か＞トム！、、、って最近こればっかf^^;。
◆オー！ブラザース（韓国）◆
いい加減な浮気調査など半端仕事をしているジョンジェに腹違いの弟がいることが分かる。金の為に一時的に弟を引き取ることにするが、弟は身体は大人なのに実際の年齢はまだ10代という病気にかかっている。ボスに弟が気に入られ一緒に仕事をすることになるが、様々なトラブルに巻き込まれていく。同時に兄弟の絆も深くなっていくのだが。。。
笑わせて泣かせる作品。バランスもいいのだけれど、時々やりすぎなのでは？と感じてしまって引いている自分がいたりするのが哀しい…。ジョンジェはここのところ守りの役が多かったけど、ここでは中途半端に人生を送っているヤクザな男を演じていて魅力満載！父親に対する複雑な心情の表現も感動的。弟を見る目が段々変わっていく所も優しさを感じて良い。イ・ボムスが美味しい役回りなので、どちらかというと受け身の役だけれど、出過ぎず引きすぎずで良かった。スーツ姿が多くて目にも美味しかったです(*^^*)。
◆王は踊る（フランス）◆
「権力がありながらそれを自分のものとして掴みきれない王が、踊りで自己を確立して表現していく物語」だと思って観に行ったのでちょっと拍子抜け。主人公は音楽家リュリ。彼の愛と野心と苦悩の物語でした。リュリの物語として観るとそれはそれで見応えがあるのですが、折角この時代の踊りが分かってきたのだから、舞踏家ルイ14世を全面に出して欲しかったと思ってしまう。踊る場面を多く見せなくても、その踊りを作り上げていく過程とか姿なんかを観たかった。その上でリュリの音楽もあるわけだし。
それでも題材としては凄く面白いし、派手な歴史物としての華やかさがあって目に嬉しかったです。古楽モノはあんまり馴染みがないのですが、ムジカ・アンティクヮ・ケルンとゲーベルの強さと華麗さを引き出した音楽はとても良かったです。
◆オペラ座の怪人（アメリカ）◆
ロンドン、ＮＹでロングランされ、既に古典的名作とも言われるミュージカルの映画化。ドラマチックでロマンチックなこのミュージカルのポイントの一つは、観ている間中パリのオペラ座にいるような気分にさせてくれることだと思う。作品世界にドップリと自分を置くことが出来れば、これ程楽しめるミュージカルはないんだろうなと。それがこの映画版では衣装もセットも役者も（そして勿論楽曲も！）ゴージャスなのに、その高まった気分をフッとハズしてしまう演出とのバランスが悪かった気がします。その後の彼らなんて必要ないと思うのだけど…勿体ない。
役者はとても良いです。クリスティーヌ役のエミー・ロッサムの素晴らしい歌声にはホレボレする。少女の初々しさと、大人になっていく課程でのしっとりとした美しさも魅せる。ファントムじゃなくても恋をしちゃうよ。その恋をしちゃった人代表ラウル役のパトリック・ウィルソン。素直でストレートな歌声にちょっと惚れそうになったf^^;。あのモミアゲはどーなの？って思ったけれど、それを補ってあまりある見事な王子様ぶり。やっぱ白馬よね(^^;;
。そして仮面をしていても超セクシーなジェラルド・バトラー。歌は声の良さに助けられて、前者の２人ほどではないけれどステキだったです。感情表現はあまりに分かり易くてこっちがテレてしまいそうだったけど、“ポイント・オブ・ノー・リターン”では泣けたです(涙)。
でもこの作品の主役はやっぱり音楽。ゴージャスでセクシーで挑発的で、一度聞いただけでもその旋律が心の奥深くに残ってくる。しばらくは頭の中でヘビー・ローテーションしそうだ。サントラを買ってしまいそうで怖いf^^;。